2月30日

第一話

ふ、と目が覚めた。
なぜだろうか。

時間が気になったので、布団の近くに置いてある目覚まし時計に目をやってみる。
2月30日0時00分

は…?
30日だと?
これはユメか?
それとも寝ぼけているだけか?

試しに自分のほほをつねってみる。
とても痛い。
つまり、これは夢ではないらしい。
なら、いったいここはなんなんだ?

そこで自分の腕に嵌められている腕時計に気づいた。
なんだこれは?
俺はこんな腕時計は持っていない。
使っているのはアナログではなくデジタルの…

とりあえず、落ち着くためにコーヒーを飲もう。
冷蔵庫から紙パックのブラックコーヒーをだし、コップに注ぐ。
そのとき、テーブルの上に一枚の紙が置いてあることに気がついた。
というより、自然に目を通していた、という方が正解だろうか。

内容はこうだった

"ここは現実ではない。
かといって幻想でもない。
それらの狭間の世界と考えてくれれば良い。

気がついたかもしれないが今日の日付は2月の30日となっている。
それがこの世界が現実ではないということの証明。

さて、ここからが本題だ。
君の腕につけられている腕時計を見てみろ。
時間が0時00分00秒から進んでいないだろう?
その時計の時間を進めるには条件がある。


望め。


それが時間を進めるための唯一の方法だ。
一つ望みを言うごとに1時間づつ進んでいく。

そして時間が3月1日の0時00分00秒になったとき君はこの世界から脱出することができる。
つまり、君は24個まで願いを言うことができる。

ちなみに、この世界の時間は普通に進んでいくが、0時00分00秒になると、また2月30日へと戻る。


安心しろ。
この世界で起こったことは現実世界には一切影響を及ぼさない。
自分の好きなようにするといい。

そして、できないことは二つのみ。
一度望んだことの取り消しはできない。
以前の願いと反対になる望みもかなえられない。
これだけだ。

では、君がこの世界から出られるように望んでいる。”


…つまり、願いを24個言えばもとに戻れるってことか?
ばかばかしい。
だが、本当にこの腕時計の時間は進んでいない。
試しに一つ願いを言ってみようか?
そうだな…

「黄金の指輪が欲しい。」

かちゃ

足下で音がした。
見てみると金色に光る指輪があるではないか。
そして腕時計を見てみると
01時00分00秒
本当に1時間進んでいる。
どうやらあの紙に書いてあったことは本当らしいな。

まあいい。
目覚まし時計を見てみると、まだ午前2時。
時間はたっぷりあるようだし、とりあえず今は眠っておこう。
朝起きてからのことを考えると…楽しみで仕方が無い。

To be continued


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