第二話

乃里予「ま、雅夜ねえちゃん…」

雅夜「くくくく」

服をぬいで裸になりかけていた雅夜の身体が恐ろしい姿に変わりつつあった。わきの下のそれぞれの毛も急に伸びて毛むくじゃらの手になり、下着もぬいでそのアンダーヘアーも左右に伸びてクモの手足となっていたのであった。もはや二本の三つ編みの前髪と後ろに床に届きそうなくらいにおろしていた長い黒髪とかろうじて残った胴体だけが人間の少女の姿としてしか見えなくなっているようで、あとはもう化け物であった。その雅夜がとうとう妹の乃里予に迫り、乃里予の三つ編みにした前髪ごとわしづかみにしはじめていた。

乃里予「ああっ!」

雅夜「うふふふ」

乃里予「雅夜ねえちゃん、いったいどうしたの?」

雅夜「わたしはこの世を支配する女王になるの。毒グモの王様にそう任命されたのよ」

乃里予「あなた、本物の雅夜ねえちゃんじゃない」

雅夜「だったら、乃里予のことを知らないはずはないわ」

乃里予「いったい、わたしのことをどうする気なの?」

雅夜「うふふふふ、乃里予も毒グモの仲間になるのよ」

乃里予「いやっ、やめて、雅夜ねえちゃん」

雅夜「くくくく」

乃里予「ううっ。ううっ」

雅夜のわきの下のヘアーが化けたふたつの手先にあるそれぞれの爪が乃里予の首を突きはじめた。胴体やお尻も雅夜のクモの手でつかまれ、乃里予はもがいてもどうしようもできなかった。やがて、雅夜は乃里予の背中におろされていた一本の三つ編みにしている前髪の毛先を口に加えて息をはいていた。

雅夜「うふふふ」

乃里予「ああっ」

乃里予の首からもまだらの液が現われた。

雅夜「さあ、鏡を見てごらん」

乃里予「きゃーっ」

まだらの液に覆われた自分の顔を見て、衝撃で乃里予はがくっとなってその場に倒れていた。

雅夜が乃里予の三つ編みにしている一束の前髪を口から離してするするとなで、抱き上げて身体を起こすと、乃里予の身体もだんだん毛むくじゃらになり、液が消えた後の乃里予の顔の頬にはクモの痣が見えていた。乃里予も目覚めると、ショックで倒れた以前とは大きく異なってうつろな表情になっていた。

雅夜「おほほほ、乃里予もクモになったわね」

こくりと乃里予は首をたてにふっていた。乃里予の背中に覆われている長くて多い黒髪も不気味にその背中をさするように動き、三つ編みの髪の網目にも毒グモがとまっていた。

 

悲鳴を聞いて母親の伸枝も洗面所にかけつけていた。しかし、雅夜と乃里予のふたりとも元の人間の姿に戻っていた。

伸枝「どうしたの?あなたたち、それにはだかのままでそんなところにいて」

雅夜「うん、ちょっとおどろいたこともあったけど、もうだいじょうぶよ」

伸枝「そう」

そこへ寝ていたはずの久美子も起き出してきたのであった。

伸枝「久美子ちゃん、まだ寝てなかったの?」

久美子「トイレに行きたくて」

伸枝「じゃあ、いいわ」

久美子「あら?」

伸枝「どうしたの?」

久美子「雅夜ねえちゃんの髪の毛にクモが止まっている」

雅夜「ええっ?へんなこと言うわね」

伸枝「きゃあ、乃里予の髪の毛先にも…」

乃里予「えっ?わたしの髪の毛に…」

乃里予は自分の背中に垂らしていた三つ編みの髪の毛を前にもってきて毛先をたしかめ、なでてたしかに結んだヘアゴムのところにクモが止まっていたことを発見した。そして、自らの手でそのクモをつまみはじめたのである。

久美子「きゃあー、やだあ、クモなんて気持ち悪い」

伸枝「まあ、雅夜も、どうしてあなたたちがじかにクモをさわれるの?あんなにふたりとも嫌っていたのに…はっ」

伸枝は、雅夜の背中におろしていた髪の毛のなかからもまたクモがたくさんおりてきてしかも雅夜のはだかになっている身体の上を列をなしながらはってのを見てまた驚いたのであった。

久美子「やだ、こっちにこないで。」

乃里予の三つ編みにしている髪の毛先からもクモがどんどん出てきたのである。そのクモの列が母親の伸枝と、末っ子の妹である久美子を目がけてきたのであった。

伸枝「きゃあーっ!」

ふたりの身体にもクモがはいあがっていたのであった。

伸枝「あなたたち…はっ」

雅夜「うふふふ」

乃里予「くくくく」

ふたりの姿がふたたびクモ女の姿に変わり始めたのであった。

久美子「きゃあー!」

雅夜「うふふふ、おまえもクモ女になるんだよ」

雅夜のわきの下にあるヘアーが化けた手で久美子がつかまり、母親の伸枝も乃里予につかまったのであった。

そして、ふたりの髪のなかにもクモが侵入してゆき、まだらの液が髪の毛のなかから現われて倒れたふたりの顔を覆いはじめたのである。

乃里予「うふふふ」

雅夜「うふふふ、これでこの家にいる者はみんなクモになったわ。今度は幸子ちゃんたちの家よ」

 

その夜、母親の伸枝を含む一家四人は幸子の家を訪れていた。幸子の母親である文子が応対に出ていた。

文子「はい、まあ、みんな急にどうしたの?」

伸枝「とつぜんでごめんなさいね。おねえさん、わたしたちの家事故が起こってしまって」

文子「事故というのは」

伸枝「家のガスや水道がみんなとまってしまって、それで生活に不便になったの。明日には復旧するって話だから。やっぱり女の子たちもお風呂に入れない日が一日でもあるとみんな髪の毛を長くしているから困っちゃうし。あ、食事はしてきたから」

文子「それはほんとうにたいへんね、いいわ、一日だけならちょっとみんなにもがまんしてもらいましょう」

こうして、雅夜たちは幸子の家に入ったのであった。自慢の黒髪をつまみながら雅夜が不気味な笑いを浮かべた。

雅夜「うまくいったわ。これで」

そのようすをとびらのすきまから幸子が眺めていたのであった。

幸子「まあ、みんなどうしたのかしら。けれど、みんな顔色がそろって悪い感じだわ。なにか病気でもはやっているみたいで」

事実、雅夜たちは恐ろしいものにおかされていたのである。

雅夜たちの一家は単身赴任でしばらくいない幸子の父親の部屋に案内された。

文子「ちょっと狭いかもしれないけどおふとんはなんとか四人分たりるから」

伸枝「ほんとうに助かるわ、おねえさん」

文子「それから、お風呂もちょうどわいたから、あなたたちだれか先に入ったら?」

久美子「じゃあ、雅夜ねえちゃんから順番に行ったら?」

乃里予「今日は髪の毛洗わなくていいんでしょ」

雅夜「そうね、それなら」

 

雅夜がさっそく着替えやタオルを持って更衣室に行ったが、更衣室に仕切がない古い家でその場所は外から見えやすい位置にあった。雅夜たちの来たことを知らなかった、幸子の一番下の弟である裕美也が先にお風呂に入ろうとしたが、更衣室にすでに雅夜が入って後ろ姿を見せていたので驚いていた。ちょうど着ていた服をぬいで下着もはずして裸になるところだった。雅夜はこの家にいる者がみな女の子ばかりだと思っていて裕美也のような男の子もいることを忘れていたようである。

裕美也「ええっ?あれは…」

裕美也は雅夜の後ろ姿に見とれてしまっていた。裸になってもひざの裏まで隠れるくらいある超長い黒髪をひろげたかと思うと、おふろに入るために髪をまとめ始めようとしてまずかたほうの髪を三つ編みに結いはじめた。はだかの見えた背中にその髪をぽんとおろし、黒いヘアゴムの結ばれた位置もちょうどお尻のあたりにあってそこからも髪の毛が細く垂れていた。もういっぽうの髪の毛も同じように結いはじめた。裕美也も髪の毛を長くして白いヘアゴムで一本に束ねていたが、より長い雅夜の髪にハアハアしたのであった。

裕美也「あっ、ああ…」

裕美也はその場で興奮してしまい、性器がぼっきしてしまってついに精液もどくーんと出してしまったのである。

雅夜はこのあと二本のおさげ髪を頭にまとめるつもりだったが、編み終えたところで後ろを振り向くと裕美也の姿に初めて気づいたのであった。精液をもらして身動きのとれなくなった裕美也に雅夜が迫ったのであった。もちろん裸のままで大きくふくらんでいる胸も露骨に見せたままであった。

雅夜「ちょっと、あんた、いままでずっとわたしの服をぬいでいるところ、見てたの?」

裕美也「あ、あの…ごめんなさい、そんなに大きくなっていたなんて」

ちなみに、年齢は9歳雅夜のほうが上である。

雅夜「ちょうどいいわ。おまえがこの家では最初のえじきよ」

裕美也「えっ?あっ」

雅夜「くくくく、おまえもクモになるのよ」

雅夜の目が赤く光りはじめた。そしてまた下僕をふやしに…。

(つづく)




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