第六話

五男「くくくく。」

那樹「うう…。」

五男の陰毛から移って那樹の髪のなかにクモがもぐりこみ、那樹の髪から顔を白い液で覆いはじめていた。いったん便器の床に倒れていたが、しばらくして両方の腕が細くなり、恐ろしい毛むくじゃらの姿に変わりはじめた。しかも、袖からはもういっぽんの同じような腕も左右から出てきたのである。腕だけでなく、はいていたスカートから両足も毛むくじゃらになってべつにまた二本の足がはえていた。わきの下のわき毛と、陰毛もクモの手に変わっていたのである。上半身をあげた那樹の身体が不気味に動き、床から壁をつたって天井から窓の外に出ていったのであった。

那樹「くくくく。」

長い黒髪を振り乱しながらクモ少女になってしまった那樹は一階下の男子便所に侵入していた。用足しをしにきた一学年上の男子生徒の背中にとびかかり、髪の毛の香りをその男子生徒にかがせて大便器の一室につれこみ、正面から男子生徒を襲ってクモ男にしていったのであった。その男子生徒も、那樹のような髪の毛の長い女子生徒が好みであった。

天井裏では、毒を送り込んだ嗣美が手を口にあてて不気味に笑い続けるのであった。

嗣美「うふふふ、みんなクモになっていくわ。」

 

藤岩木綿子の運転する自動車で、幸子がようやく自分の学校にたどりつくことができたが、校内では恐ろしいことが起こっていることもしらず、しばらく外側からようすを見ているのであった。

幸子「はっ、あれは?」

藤岩「まあ。」

双眼鏡をさしだしてみると、校舎にいくつものクモが列をなしてはっていたのが見えたのであった。

幸子「どうしてあんなにクモが…。」

藤岩「たいへん、あれはヘアスパイダーの列よ。」

幸子「ええっ?」

藤岩「はっ。」

幸子「どうしたんですか?」

藤岩が、再び双眼鏡を除くと、教室のなかでは女子生徒が男子生徒に抱きついて襲っていたり、また男子生徒も女子生徒を襲っていたのであった。

藤岩「幸子さんにこんなおそろしい場面は見せられないわ。」

幸子「もしかして、みんなが…。」

藤岩「そのとおりよ。みんなクモ、ヘアスパイダーが髪の毛のなかに入って生徒さんたちがおかしくなっているわ。」

幸子「どうしたら…。」

藤岩「もう、どの学年の生徒さんたちにもひろがって、このままでは学校の外にも出て人を襲うかもしれないわ。」

 

幸子の家には、またクモ少女たちが集まっていた。嗣美も戻っていて、すぐ上の姉である美智子と、いとこの最年長で少女たちを統率する立場の雅夜や、妹の乃里予が集まっていた。みな、いつもの髪形だったが、着ていた服を脱いでいて下着姿にもなっていた。

雅夜「うふふふ、嗣美ちゃんは、幸子ちゃんの学校に行って成功したようね。」

嗣美「ばっちりよ。幸子ねえちゃん以外の者はみんなクモになったわ。」

嗣美が、三つ編みの輪にした自分の髪をなでながら不気味に笑って話した。

雅夜「ふふふふ、みんな、次の手はうってある?」

乃里予「だいじょうぶよ。もうすぐわたしが育てているクモもうごめいてきたわ。ほら…。」

乃里予が下着をずりおろして、アンダーヘアに隠れていた一匹の小さな毒グモがあるのを見せていた。

美智子「それなら、あたしも…。」

三つ編みのポニー・テールを背中に垂らしていた美智子もまた、下着をおろしてアンダーヘアーのクモを見せるのであった。そして、とびでてきたクモがその背中におろされていた三つ編みの髪の上にはねあがり、髪の上をつたっていったのである。

雅夜「うふふふ。美智子ちゃんのほうが先にクモを成長させたようね。アンダーヘアーも、小学六年生でもうそんなにはえてきて。」

乃里予「美智子ちゃんのほうが、わたしよりいやらしいのかしら、あっ。」

乃里予のアンダーヘアーからもとびでたクモも、乃里予の背中におろされていた長い黒髪にもぐりこんでいった。

雅夜「さあ、また学校に戻って、おまえたちは次の仲間をふやすのよ。」

美智子「はい。」

乃里予「はい。」

雅夜も、背中におろしていた髪の毛をツイン・テールにしてそれぞれ三つ編みに結いはじめ、編んでいる長い髪の上をお尻にとびついたクモがすぐつたいはじめていた。お尻を覆うほど髪の毛を長くしている雅夜も、恐ろしいクモ少女なのである。

雅夜「うふふふ。」

 

乃里予の中学校では、午後が体育の授業で乃里予もいつもおろしていた髪の毛を二本の三つ編みに変えるなどして髪の毛先をブルマをはいていたお尻のあたりまで届かせていた。まだ授業が始まる昼休み前に乃里予のいるそばをひとりの男子生徒が通りがかった。乃里予の長い髪の後ろ姿に以前からあこがれていた一学年上、つまり三年生の男子生徒の沢平真理男で、髪型を変えた乃里予の姿を見て胸をどきりとさせ、性器もふくらんでたってきていたが、乃里予のかたほうの三つ編みの髪の毛の上をクモがはっていたのを見て真理男も驚いていた。

真理男「あの子の髪の毛から、いったい、うわっ。」

しかも、そのクモは毛先から地面にとびおりて、真理男のいるほうに向かってきたのである。驚いた真理男は逃げようとしたが、すぐにクモが男子生徒の頭にとびついて、真理男はその場で倒れ、気を失っていた。

 

女子高校生の雅夜は、実は小学生の時からずっと好きだった片思いの年上の男子を追っていた。太っていて自他ともに男の子には縁がないいわゆるブスであることを認めていた雅夜は、そうしたことから男の子を好きになるということはめったになかったが、小学生の時に前髪を三つ編みにして後ろの髪といっしょに背中に垂らし、すでにお尻をおおうほどあった頃、たまたま学校の朝礼でその日は雨が降っていたために体育館のなかでやっていて、朝礼が終わった時に出口に児童が集中して身動きがとれなくなってしまった。後ろから早くいけとせかされながら前があくのを待っていた時に自分の髪の毛の三つ編みにしているところをだれかがなでていると感じ、その時視線を後方にやると後ろにいた上級生の男の子の股のあたりがふくらんでいるのを見て、この子は自分の髪をさわって興奮していると思い、服の色からその子、坪田晶孝(つぼた・あきたか)とわかった。そのときは興奮して驚いただけであったが、機会があれば話し合ってみたいと思うようになり、翌日から晶孝の存在を気にするようになった。しかし、晶孝のほうは年下のほうは実は関心がなく、雅夜のほうを振り向いてくることがほとんどなかったために視線を合わせることがなかったので、好意に気づくことはなかった。たまたまあの時は相手をまちがえて髪の毛にいたずらしたのか、偶然ぶつかっていただけだったようである。

その晶孝が大学に行ってしかも髪の毛を胸のあたりまで長くしている姿を雅夜がクモ少女になる前に最近発見し、やっぱり長い髪が好きなら自分を好きになるかもしれないと思った。しかし、雅夜のほうも実は決してまともなおつきあいをという夢の見方ではなく、むしろおとしいれて性行為を強要したいという妄想を抱いていた。性格的にも、雅夜はクモ少女になりやすいタイプだったのである。

雅夜「そうだわ、彼の家に入って、彼をクモにしてやるわ。」

髪の毛をいたずらされて片思いもさせられていたという復讐の念もまた抱いていた雅夜であった。

 

小学六年生の美智子も、自分を慕う同級生のある男子児童をけむたく思っていたが、彼をおびきよせて手下にしようと思いはじめた。

美智子の長い髪の毛にあこがれている三谷由右也(みたに・ゆうや)も、少し髪を伸ばして肩にかかるぐらいになった。家のなかにひとりでいると、髪をふたつにわけて白いヘアゴムをくくったおさげの姿になった鏡のなかの自分を見て見とれはじめた。三つ編みはまだできないと思いながら、いずれしたいなと思う由右也はまさに女性的な性格でおとなしく、色白で女の子よりもきれいな外見だったが、美智子はそんな由右也のことを気持ち悪いといつも思っていた。

おさげのまま、由右也がトイレに行って用足しをしようとチャックをおろしはじめると、天井のふたがあいて由右也の頭の上になにかがとびこんできた。

由右也「うわっ、なに?ああっ。」

思わず、もよおしていたのも忘れて便器に小便を放せずそのままはいていた下着やズボンにおもらししてしまったのである。

由右也「わー、しまった。しかたない、おふろ場でシャワーして着替えよう。」

由右也の頭にとびかかっていたのはもちろん、クモ少女になっている同級生の美智子だった。

美智子「うふふふ。おもらしまで見せてもらったわ。」

おだんごから三つ編みのポニーテールを背中に垂れさせながら口を手にあてて不気味に笑う美智子だった。美智子もまた着ていた服をぬいで裸になり始めた。

ふろ場で身体を洗うため、由右也は裸になったが、ふろ場に入った由右也のおさげにしている左右の髪をわしづかみにしながら背中から美智子が裸になって抱きついてきたのである。

由右也「わっ、いたい、だれ?あっ。」

美智子「うふふふ。」

 

晶孝の家に天井裏から侵入して、晶孝の部屋で待ち伏せしていた雅夜は、晶孝のベッドに入っていたのであった。

部屋の扉をあける音がしていた。

雅夜「帰ってきたわ。ふふふふ。」

晶孝が荷物を置くと、部屋のなかにあった三面鏡を開いて、ヘアブラシで自分の髪の毛を整えはじめたのであった。

雅夜「なあに?ほんとうに女の子みたいに、三面鏡なんか自分の部屋に置いていたなんて。」

しかも、髪を等分して三つ編みを結いはじめ、手首に巻いていた黒いヘアゴムをそれぞれ毛先にとめた女学生のような姿になったのである。毛先葉わきの下ぐらいに届いていた。

そのおろしていた三つ編みの髪を左右それぞれわしづかみにするために、雅夜が背中にとびかかってきたのであった。

晶孝「わっ、だれ?」

雅夜「くくくく。」

恐ろしい、クモ少女になった者たちが、毒牙を次々と…。

(つづく)




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