『可愛さ余って』
――前編――
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この話は途中で男性視点と女性視点が切り替わります。読みづらい点はどうかご容赦を。
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「私、あなたと別れる事にしたから。」
朱色に染まる放課後の校舎裏。
突然に、それだけを告げて彼女は去っていく。
それだけで納得がいく訳がない。俺は、とっさにその腕を捕まえて問いただしていた。
「待てよ、どうして俺じゃダメなんだ!?」
それをうざったそうに振り払って、彼女は、面倒くさいと呟いて、こう言った。
「私はただの甘々デートなんて興味なかったの。もっと刺激が欲しいのよ。本気だったら、キスなりエッチなりもっと迫ってくれればよかったじゃない!」
ま、顔は良かったけど、行動は及第点満たなかったわけ。などと付け足してもう一度去っていこうとする。
・・・・・・俺は、お前の喜ぶ為に何でもしようとしたんだぞ。それを・・・・・・
怒りが込み上げてくる。そして、俺は・・・・・・
彼女の背に飛び掛った。
だが、手が彼女に触れる直前、世界がぐるりと回る。そして次の瞬間には、ドガッ、と背が地面に叩きつけられていた。
「あなたとは別れたって言ってるでしょ?残念ながら、もうお断りよ。」
視界の片隅に、右足を振り上げたままの体勢で固まる彼女が映った。
・・・・・・上段回し蹴り・・・・・・彼女の得意技だったな・・・・・・。
痛みを感じないのは、彼女なりのせめてもの土産だったのだろうか?
今度こそ、本当に去って行く彼女を見送るほか無かった。
「くっそぉーッ!」
ダン、と自室の壁を殴る。
「くそ、くそ、くそぉッ!」
何度も、何度も、何度も。それこそ壁を破壊してしまわないかと思うほどに。
その時、コンコン、と控えめに扉を叩く音がした。
「誰だ?」
「おにい、私だよ。入っていいかな?」
「・・・・・・好きにしなよ。」
その言葉を聞いて入ってきたのは、俺の一つ年下の妹、水谷 加奈だった。
万能な妹で、料理に掃除洗濯に、テストからスポーツまでそつなくこなす完璧超人。
・・・・・・おっと、自己紹介を忘れていた。
俺は水谷 修司。
高校2年生で、まぁどこにでもいる普通の学生で保健委員。
・・・・・・本当にソレ以上特筆すべき点はない。
「おにい、ドンドンてうるさいよ。まさかあの彼女とケンカでもしたの?」
妹の言う事は、俺の怒りの中心を貫いていた。まるで知っているような口ぶりに、俺はただ凍りついてしまう。
「あ、ビンゴだったんだ・・・・・・。」
そう言って一瞬済まなさそうな顔をしたが、すぐに呆れたような顔になった。
「でもさ、おにい。私言ったよね?あの彼女・・・・・・絵里菜だっけ?あの人ロクな女じゃないってさ。」
そうだ。加奈が言っていた事、今でも覚えている。
『あの人、彼氏をとっかえひっかえしてエッチしてるって噂だよ。そんなのでいいの?』
彼女・・・・・・篠崎 絵里菜は、クラスの中でも一、二を争う美人として人気が高かった。
そして、彼女も俺と同じ保健委員。その幸運を、俺はただただ喜んだ。
その頃から、彼女の優しい部分に惹かれだして。
次第に親しくなり、いつだったかに告白して、付き合い始めて、その直後に、加奈からそう言われたのだ。
今考えると、その噂は真実だったのだ。俺も、何度か男と一緒に歩いているのを目撃したのだから。
「・・・・・・ねぇ、おにい・・・・・・」
急に、加奈の言葉に翳がかかる。いつもの快活な声ではない、誘うような、甘い声。
「あの人のこと、今でも好きなら・・・・・・いっそ、“操っちゃえ”ば?」
「・・・・・・あやつる?」
俺は、訳も分からず、オウム返しに聞き返した。
「忘れちゃった・・・・・・?小学生の頃、結構はまってたじゃん。」
そこまで言われて、俺も何の事だか理解した。
「「催眠術。」」
二人が声を合わせる。小学生の頃、俺は確かに催眠術師としてクラスじゃちょっとした有名人だった。クラスの奴らに悪戯みたいに催眠術をかけて遊んだっけ・・・・・・。
「確か、机の引き出しに仕舞ったはず・・・・・・。」
その当時から使っていた学習机の一番上、鍵の掛かった引き出しを開け、中をさばくり・・・・・・
「・・・・・・あった。」
俺は見つけた。小さな水晶を先端にあしらったペンダント・・・・・・あの時に使っていた小道具だった。
「・・・・・・これで、絵里菜を操れば・・・・・・。」
「そうだよ、これで万事オッケーだよね、おにい。復讐戦だよ。」
いつしか、加奈の目には嗜虐の火が宿っていた。
そして、俺も・・・・・・
「お前も、手伝ってくれよ?」
これまでやったことがないほどに、暗い、昏い笑みを浮かべていた。
さて、と・・・・・・一番重要な件だが。
「でもな、そう簡単にいくか?」
「・・・・・・分かんない。」
さらりと返された。分かんない、てあんた。
「駄目じゃん。」
そう言うと、加奈は逆になんで?って顔を返してきた。
「だって、もう5年くらいやってないんだよ?今も使えるか分かんないし、強くなってるか弱くなってるか・・・・・・。」
そう言われてみれば・・・・・・もし勘を忘れていたら恥じゃ済まない。
「だから、私で試してみなよおにい。」
「え・・・・・・?」
「だーかーらー。私を実験台にして有効性チェックといきましょうよ。ね?」
そう言って腕に擦り寄ってくる我が妹を見ると、コイツはコイツでかなり女っぽくなったな、と実感する。
まだあどけない顔立ちだし、胸のふくらみは小ぶりではあるがなかなか心地よい感触がある。
「おまえを、汚すことになるかもしれないぞ?」
最後の警告だった。このまま、この身体を俺の自由に出来たのなら、俺は間違いなく妹を穢してしまうだろう。それほどまでに、加奈の肢体は華やかに成長を遂げていた。
「・・・・・・覚悟の上で言ってる。誘ってるんだよ、これでも。」
その言葉を聞いて、覚悟は出来た。
シャラリ、と鎖が垂れる。加奈の目の前に水晶が落ちた。
「さて、この水晶に集中してください・・・・・・」
ブラン、と垂れ下がった水晶に、加奈の目が釘付けになる。
ゆらり、ゆらり・・・・・・。
左右に揺れる毎に、ゆっくりと暗示を掛けてゆく。
「あなたは、だんだんと瞼が重くなっていく・・・・・・。」
「あなたは、とても気持ちがいい。瞼を閉じているとリラックスできる。」
加奈の目が閉じ、ゆっくりと頭を垂れた。昔よりも早い・・・・・・期待が出来そうだ。
とりあえず完全に落ちているのを確認して、次の暗示へと入る。
「さて、俺の声が、聞こえますか・・・・・・?」
「・・・・・・はい・・・・・・。」
静かな返答を聴き、俺は次へと進む。
「・・・・・・これから、あなたは、俺の言う事を何でも聞いてしまう。俺が言葉の後で指を鳴らしたらそれが命令を聞く合図。分かったか?」
コクン。加奈の首が縦に揺れた。
「よし、じゃあ、あなたは目を覚ます!」
パン!と大きく一度手を叩くと、加奈はゆっくりと目を開けて、きょろきょろと辺りを見回した。
「あ、あれ・・・・・・おにい、もう終わったの?まさか・・・・・」
困惑気味に自分の体をぺたぺたと触りながら不審そうな声を出す。失敗か・・・・・・?という色も、僅かに目にちらついているが・・・・・・。
加奈の意思がはっきりとした時を開始にしようと、俺の中でタイミングを計っていたのだ。
「いや、成功だ。」
そう宣言して、俺は加奈に指示を与える。これから、俺は加奈を壊していくのだ。
「加奈、俺に、いつものやり方で自慰行為をして見せてくれないか?」
「ちょ、おにい、それはちょっとハズかしいよ・・・・・・。」
顔を真っ赤にして羞恥の声を上げる。だが、俺が指をパチンと鳴らして、もう一度、
「加奈、いつものやり方で自慰行為をして見せてくれないか?」
そう聞くと、加奈は再び、とろん、と目を緩ませて、
「分かったよ、おにい・・・・・・。」
呟くように告げ、加奈はおもむろに体勢を変えた。
脚を大きく開いて、片足を上げたポーズで。手は服をはだけさせ、その発展途上のふくらみに、そして淡く色づく花弁へ。
「・・・・・・綺麗、だ。」
思わず唾を飲み込んでいた。
まるで絹のように滑らかな肌。加奈の指が割り開いた秘唇の内側は、僅かの汚れも無い美しいピンク色だ。
「おにいが喜んでる・・・・・・。・・・・・・うれしい。」
そんな事を、小さく呟いたのは果たして本心か、それとも催眠術によるものか。
ふと考えようとしたが、すぐにそんな事はどうでもよくなってしまった。
胸を揉みながら、人差し指と中指でツンと尖った乳首を挟んで擦る。秘唇に伸ばした手は、秘唇を割り開き、親指でクリトリスを転がし、中指を膣に押し込んで、内壁を擦る。その手は、どんどんと早くなってゆく。
「おにいが見てる・・・・・・エッチな目で、私を・・・・・・。」
「・・・・・・そんなに興奮するのか?実の兄に見られてるんだぞ。」
そう聞いた。その問いに対する答えは、俺の想像を遥かに上回っていた。
「だって・・・・・・私、ずっとおにいに見られるのを想像してたんだもん・・・・・・。おにいに、その、してもらうのを、想像してたの・・・・・・。」
・・・・・・もう、充分だった。
「加奈ッ!」
俺は、堪らずに、実の妹を抱きしめて、口付けをしていた。
「ん、ぷぁ、ちゅ、ぴちゃ・・・・・・。」
水音が鳴る。舌が絡む。互いの唾液を、互いに飲み込んで。
「もう、我慢できない。加奈、足を開くんだ!」
パチン、と指を鳴らし。
加奈が命令を遂げる前に、俺は、実の妹を、犯した。
「おにいってさ・・・・・・優しい顔して結構激しかったんだね・・・・・・。」
俺の隣で呟く加奈の言葉を聞いて、今更恥ずかしくなる。
「まぁ、その・・・・・・悪い。」
バツが悪くなって、つい謝ってしまう。
だって、なぁ・・・・・・・・・
『加奈ッ、お前の舌は性感帯だ!キスをしていると最高に気持ちがいい!』
『お前はもっと感じる!今の3倍も4倍も感じるようになる!』
『お前は、俺がイクまでイケない!俺がイッたらイけ!』
・・・・・・・・・・・・・・・勢いでやった。今は反省している。
「いいんだよ、おにい。私はうれしいの。やっと、願いが叶ったんだし。・・・・・・だ・か・ら。」
それだけ言って、加奈は悪戯っぽい笑いを浮かべた。
「絵理穂さんをモノにしたとしても、私も時々は可愛がってね?」
・・・・・・次の日、俺は早速行動に移る事にした。
絵里菜の机の前に立ち、「絵里菜さん」と声を掛ける。
面倒くさそうに顔を上げた彼女は、声を掛けた人間が俺だと気付くなり、フン、と鼻を鳴らした。
「昨日の話しなら御免だわ。」
「違う。保健委員の仕事が緊急で入ったから放課後に残ってくれるかな、って言おうとしただけ。」
俺はそれだけ言うと、絵里菜が何かを言う前にさっさと退散した。
そうすれば、彼女はなんだかんだで律儀だから間違いなく待ってるだろう。
その時が、復讐のチャンスだ。
彼女に気付かれないような場所まで来て、俺はニヤリと笑った。
「で、何をするの?」
保健室で、不機嫌そうに絵里菜が言う。保健室の先生(何故かウチの担任)はどうしたのかというと・・・・・・まぁ、あれだ。面白そうだからよし、という人なので計画を話したら場所を開けてくれた。それでいいのか教師として人として。
「ま、先生からの頼まれ事なんだけど・・・・・・先生がいないからなぁ・・・・・・。」
「だったら私、帰ってもいい?」
そう言って即座に席を立って扉に歩いてゆく絵里菜。このまま出て行かれたらマズい!
俺は慌てて彼女の手を取って振り返らせ・・・・・・
「何・・・・・・?」
その視界に、水晶を入れさせた。
それを、ゆらりと揺らす。
「あなたは、だんだんと瞼が重くなってくる・・・・・・。自分では、開けられないほどに、重くなる・・・・・・。」
「催眠・・・・・・術・・・・・・?」
絵理穂は、小馬鹿にしたような表情を浮かべ・・・・・・ようとした。
だが、水晶の揺れと同調するように声は次第に小さくなり、目も段々と虚ろになり。
「・・・・・・あ・・・・・・あ、れ・・・・・・・・・?」
数秒と経たず、彼女はドサリ、と床に倒れ臥した。
ニッ、と入り口に笑みを送ると、そこには、妹と、先生が立っていた。
・・・・・・俺は、寝ている絵理穂にいくつかの指示を与えた。
まだ、ここでは俺のものにはしない。
もっと、もっと、屈辱を与えてからだ・・・・・・。
それからしばらくして、俺は絵理穂を起こした。
「ん、んぅ・・・・・・?」
少女のような声を上げて、目を擦りながら起き上がった絵理穂に一瞬吹きそうになったが、何とか我慢して平静を装って話しかけた。
「大丈夫?随分寝ていたけど。」
「え・・・・・・?ごめん、仕事は・・・・・・。」
絵理穂は本当に申し訳なさそうに頭を下げた。これだけ素直になってくれれば・・・・・・などとも思ったが、まぁそれはそれ。
「資料整理の手伝いだった。そんなに大変じゃなかったから大丈夫だよ。」
そう言って誤魔化して、結構な時間だし早く帰りなよ、などと言って俺はその場から立ち去った。
そして、待っていた加奈と「大成功」を笑いながら帰宅した。
――翌日(土曜日)―― (絵理穂視点)
私は、この間知り合ったセンパイとデートしていた。
知り合ったのは一週間前だから、修司と別れる前ってコト。
結構強引だけど、いや、だから私の好きなタイプだった。顔も良かったし。
それに、一昨日のエッチ、すごく相性が良かったんだもん。
・・・・・・私は、自分でも結構可愛いと自覚してる。
だから、告白してくる男も多い。
ま、つまりはとっかえひっかえ選り取り見取りってわけですよ。
だから、私からつまみ食いしたのも結構居たけど、修司はいつものとはちょっとタイプが違った。
告白もちょっとオドオドしてたし、強引じゃないし、甘々だし、迫ってきた事は一度もなかった。
けど、どうしてか、振ったコトで少し心を痛めている私・・・・・・
って、どうしてだろう?おかしいよ、こんな事考えるなんて、ゼッタイにおかしい。
振った時はあんなにスッキリしたと、清々したと思ったのに・・・・・・
「・・・・・・い、おい、絵理穂?」
目の前でパタパタと手を振られて、私は我に帰った。見上げてみると、ちょっと心配そうなセンパイの顔。
「何でもないよ、なんでも。」
そういってすこし大げさに手を振って否定してみる。
「そうか、ならいいけど。」
それだけ言うと、センパイは笑顔になって私を引っ張っていった。
でも、私は、さっきまで考えていた事を、不思議に思い返していた・・・・・・。
「もぅ、いきなりホテルに直行なんてちっともムード無いじゃん。」
ちょっとばかり不満の声を上げてみる。
ホテルに来るのは悪くない。ただ、会ってからどこに行くでもなくホテルってのは、ちょっとね。修司ほどじゃなくていいけど、やっぱりそういう雰囲気は欲しいものよ。
「おまえだって、そういう関係って言っただろうが。俺はその通りにしてるだけ。」
そう言いあいながら、二人ともテキパキと服を脱いでいくのは流石に慣れてるなー、と思ったりしないでもない。
「あ、待って。今日は、私が上・・・・・・ね?」
がばっとセンパイをベッドに押し倒し、私は僅かな湿り気を帯びた花弁を彼の太いモノに押し付けた。
何故か分からないけれど、妙にお腹の奥が疼いていた。甘い火でとろとろと煮込まれるような、むず痒いような熱が広がって、今日は朝から焦らされっぱなしだった。
「入れるよ、センパイッ・・・・・・。」
待ちに待った、男を私の中に受け入れる感触が、した。
した・・・・・・のに・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・あれ・・・・・・・・・?」
膣が広がる感触と、襞を擦られる感覚はある。なのに、なのに・・・・・・っ!
(――――――感じない――――――!?)
そう、快感だけは、どこかで快楽神経が断絶してしまったみたいに、全く、ほんの少しも感じないのだ!
ありえない、ありえない、ありえない!一昨日は気絶しそうなほど気持ちよかったのに!こんなに焦らされてるのに、こんなに疼いてるのに、こんなにごりごり擦ってるのに!
「くっ、お前、どうしたんだよ。一昨日と比べて、全然気持ちよくないぞ。」
「知らない、知らないよ!私、全然感じないの、今日は、全然ッ!」
がんばって、腰を激しく上下させてみる。がんばって、前後左右にひねりも加えてみる。
・・・・・・でも、ダメだった。クリトリスも、子宮口も、Gスポットも、どこを擦っても、どこを突かせても、快感だけは感じない。
それどころか、無理に動かしていたために次第に痛みを感じるようになってきた。急な圧迫感と、襞に引っかかる感触。
こんなにも疼いて、苦しいのに・・・・・・どうして!?
私は、気が触れてしまいそうだった。
「あー、もういい!今日は俺が勝手にやらせてもらうぞ!」
急に、視界がガクン、と揺れた。一瞬のうちに、センパイと私の位置関係が逆転する。
「せ、センパイ!?」
後ろにまわったセンパイに、無理矢理にバックの体勢にされて、ガン、と深く突きこまれる。
「あ、ぐっ!?」
その衝撃に、私の口から、身体から、嫌な音が聞こえた。
さっきまで行為をしていたとは思えないほどに濡れていない私の膣は、センパイの太いモノで突かれるたびに摩擦が起こり、引き裂けてしまわないかと思ってしまうほどの痛みを訴える。
「こんだけ濡れてないと、なんかレイプみたいで興奮するよなぁ、絵理穂?」
レイプ・・・・・・そうだ、これはレイプそのものだ。私の意志なんて考えない、ただただ男だけが快楽を貪る行為・・・・・・。
「ちょっと・・・・・・もう、やめて、痛いの!」
私の奥に、センパイのモノが突き込まれるたび、子宮が奥に叩き込まれて僅かに気分が悪くなる。にも拘らず、センパイの突き込みは激しさを増していった。
それに、それまではお尻に添えられていた手が、私の胸の先端で小さく自己主張していた乳首と、行為をしている穴の下にある突起に伸びた。
「やめて、だめ、それだけは許して、お願い・・・・・・!」
「だったら、お前が感じりゃあいいだろうがっ!」
私の懇願も無視して、センパイの手は、二つの突起に強く爪を立てた!
「ぎぁッ―――――――――――!!」
絶叫は、声にならなかった。代わりに、掠れた声が喉から漏れ出すだけだった。
全身の神経を針が流れたような鋭痛、激痛。
それを耐え切る事なんて、出来るものではなかった。
「あ・・・・・・・・・ひ・・・・・・・・・。」
手の力が抜かれると同時、私を支えていた腕から、脚から力が抜けた。
そして、子宮の中に熱いものが流れ込んでくるのを、私は落ちてゆく意識の片隅で感じた・・・・・・。
「う、うぅ、うあああああ・・・・・・!」
一人になって、私は大声で泣き出した。
あの後、意識を取り戻しても、私の身体が感じる事は無く。
それでも、センパイは何度も体位を変えて何度も私を犯した。無理矢理に、暴力的に。
センパイの絶頂の度に、私は突起に爪を立てられた。そして、その度に私は気絶を繰り返した。
しかも、センパイは去り際に、
『これくらいも出来ないお前に存在価値なんか無い。顔と肢体だけが取り得のくせに。』
そんな捨て台詞を残していった。
あまりにも、酷過ぎた。
存在価値・・・・・・私の存在価値って、それだけだったの?
私に言い寄ってきた人達も、皆、そんな事を考えていたの・・・・・・?
確かに、私はエッチな事は好きだし、顔も可愛いって言われる。身体もそれなりにエッチに育ってる。
だからって・・・・・・私は、エッチだけの為に男と付き合ってるわけじゃないのに・・・・・・。
私だって、本気で付き合うつもりはあるのに・・・・・・!
泣いて、泣いて、泣いた。枕がべちゃべちゃになるくらい、涙を流した。
その涙も、そろそろ枯れようとした時、ふと、頭の中に、一人の男の影が揺らめいた。
「修司・・・・・・。」
私に告白した男の中で、唯一エッチをしてない男だった。
他の彼氏は、皆最低でも一度はしたことがある。今思えば、ナンパな男ばっかりで、あっちから誘ってきた奴らばっかりだった。みんな、センパイと同じ考えだったんだろう。
だけど、彼だけは違った。
自分からそんな事は言わなかったし、それならと、私も言い出さなかった。
彼だけは、本当に私を好きで、だからこそ、“しよう”なんて言い出せなかったのかも・・・・・・。
・・・・・・・・・バカ、私のバカッ!
きっとアイツだって同じ。私をエッチな目で見てたんだ!
それに、今更自分から振った男の元に戻るなんて、出来るわけ無いじゃない・・・・・・!
頭の中がごちゃごちゃになる。それを整理する事も出来ないまま、彼というイメージから、ふと、昨日のコトが頭の中に甦った・・・・・・。
(まさか・・・・・・・・・?)
――月曜日―― (修司)
少しだけ早く起きて、加奈と朝食を採り、『結果』が楽しみだ、と笑いあい、そうして。
俺は、いつもより20分ほど早く席に着いた。
そして、ゆっくりと時間を数える。
「1分・・・・・・2分・・・・・・」
そうして、興奮を静かに押さえ込んで、内心の笑みを押し殺していると、だんだんと教室に人が増えてくる。だが、目当ての人間はなかなか来なかった。
7分・・・・・・8分・・・・・・9分・・・・・・
時計の針を数え続けてそろそろ10分目になろうかという時、前方の扉が開かれた。
そこから教室に入ってきた人間こそ、俺の目的の人間だった。
(来たな、絵理穂・・・・・・。)
誰にも気付かれないようにニヤリと笑う。
絵理穂は、足を踏み入れるなり、鞄も置かずに俺の前へやってきた。
そして、ダン!と机を叩いて、声を荒げた。
「修司、あなた、私に何をしたのっ・・・・・・!?」
〜後編へ続く〜