第二話

  「坊やこそ、さっきのバスのなかでわたしになにをしてたか、おぼえてるでしょ。」

「えっ?ただ…。」

   

紀美也は、女の髪の毛がとてもきれいだったので、見ほれていただけだと言いたかったが、女は話を続けた。

   

「坊や、わたしの後ろで痴漢をしたでしょ。」

「えっ?そんな、してないよ。」

「うそおっしゃい。ずっとわたしの真後ろに立っていたわ。わたしが身体を動かしてほかのほうへ向こうとすると、あんたはすぐ後ろにひっついてついてきたわよ。」

「ええっ?それは…。」

「おほほほほ。わたしはね、後ろにも顔があるの。だから、あんたのやっていたことはわかっているのよ。だいいち、すごくいやらしい目つきをしていたわ。」

「後ろにも顔があるって…、まさか、おばけじゃあるまいし。」

「それなら、証拠を見せてあげる。」

 

  女はそういうと、とつぜん着ていた洋服のスカートを脱ぎ始め、上着も脱いだ。つまり、紀美也の目前で裸になりはじめたのである。

 

  「おねえさん、やだ。ぼくの前で。」

 

  すると、女が振り向いて目を光らせ、紀美也を苦しめた。

 

  「うっ、く、苦しい、どうして。」

「うふふふ、ほんとうはわたしのストリップを見たいのでしょう。目はそらさせないわ。」

「やだ。」

 

  だが、紀美也は目をつむることができなかった。女の強力な魔力を受けてにらまれたという感じだった。女はついに裸になり、紀美也のしばられている身体の上にまたがって、しかも背中を向けた。紀美也の心を奪った、お尻までとどいている超ロングのしなやかでボリュームのある黒髪を背中にばさっとおろしていた。このため、紀美也はまたその黒髪に見とれるようになってしまった。

 

  「うふふふふ。」

 

  不気味な笑いを続けた女は、紀美也のはいているベルトをとうとうはずして、ズボンやパンツをぬがせ、性器を露骨にあらわせてしまった。

 

  「いったい、なにをするの、おねえさん。」

「ほら、坊や、あんたのおちんちん、しっかり立ってきたじゃない、うふふふふ。」

「おねえさん、やめてったら。」

「おほほほほ。」

 

  女は、また紀美也に顔が見えるように向き直って、紀美也の性器を指でまさぐり始め、さらに自分の髪の毛をふたつに分けて垂らし、左右から紀美也の性器にまきつけ始めた。

 

  「おねえさん、たいせつな髪の毛が汚れてくるよ。」

「ご心配なく、あんたの気持ちを悪魔化するためよ。」

「ええっ?」

 

  紀美也の性器がだんだん大きくぼっきしていた。そして、とうとう興奮して精液が大きく噴き出してしまった。

 

  どくどくっ、じゅるじゅるじゅるー、びちゃーっ!

 

  「うふふふふ。本当のこと言ってあげましょうか。あんたはわたしの長い髪の毛に見とれていたんでしょ。」

「う、うう…。」

「男の子のくせに、自分も女の子みたいに髪の毛長くできたらいいなと思いながら見ていたの、わかってたわよ。」

「ああ…。く、苦しい。」

 

  女の巻きついた髪の毛が紀美也の性器をきつくしめつけていたため、もうなにも言葉で答えることができない紀美也だった。

 

  「うふふふ。これから、その願いをかなえようと思っているの。うれしいでしょ。」

「うう…。」

「おほほほ。願い通り、髪の毛が長くなったら、わたしの仲間になるのよ。」

「ああ…。」

 

  紀美也の精液から女の髪にしみこんでいた恐ろしいウィルスが紀美也の性器に逆流して侵入していき、紀美也の身体のあちこちがふくらんだりしぼんだりして全身にいきわたっていた。

 

  「くくくく。坊やもこれでわたしの仲間。あなたはわたしの思い通りに動くようになるのよ。」

 

  しばらくして倒れていた紀美也の頭からはいつのまにか髪の毛が長く伸びていた。起き上がって、傍らの壁にあった鏡で自分の姿を見た紀美也は自分の伸びている黒髪を確かめながらだんだんと不気味な表情に変わっていた。

 

  「うふっ。うふふふ。」

 

  笑い方もまた不気味だったが、紀美也を洗脳した女がまた不気味に長い黒髪を揺らせながら笑うのであった。

 

  「おほほほ。どうやら、自分の立場を自覚したようねえ。さっそく、あなたは新しい仲間をつくってくるのよ。あなたの好きな女の子でいいわ。」

「はい。」

 

  うつろな表情で返答する紀美也だった。

   

   

   

  学校の体育館の裏側には、狭い掃除用具置き場があった。京子は、悦樹を抱きかかえながらそこに入っていき、掃除用具の扉を閉めて誰も入ってこられないようにした。薄暗い灯りが一本だけついていた。

悦樹が目をさました。

 

  「ううっ、はっ、ここは、あっ。」

「うふふふふ。」

 

  悦樹は仰向けに寝かされていた。なんと、自分の首の上で、首をはさんでひざを立てていた京子がいたのである。しかも、その下半身は下着を脱いでまさしくおまんこを露骨にあらわして、悦樹の首にすりよせていたのである。ちなみに、悦樹があこがれている三つ編みのおさげ髪は後ろへおろしている。

 

  「君は、やだ、ちょっと、なにをしてるの?」

 

  悦樹が起き上がろうとすると、京子はその両方の手首をそれぞれの手で握っておさえつけ、股で悦樹の首をまるでプロレスの技のようにしめつけていたのである。

 

  「ふふ。」

「あの、どうしてこんなことするの?」

「うれしいんじゃなくて。」

「うれしいって、その、ぼくは苦しいよ、それに、体育の授業が始まってるんじゃ…。」

「あなた、わたしのこと追いかけていたでしょ。」

「えっ?」

 

  悦樹は、京子の三つ編みの髪の毛にひかれてあとを追っていたことを、京子に感づかれていたとわかって、困惑してきた。

 

  「わたし、変なことされそうでこわかったよ。だから、わたしは復讐をするの。」

「復讐って、わかったよ、ごめんなさい。後ろについていったの、たしかだったから、もう二度と追いかけたりしないから、離して。」

「離してですって?おほほほ。わたしね、いちど男の子をいじめてみたかったの。」

 

  おとなしい女の子と思っていた京子の言葉に、悦樹も面くらう思いがしてきた。

 

  「いじめるって、かんべんしてよ。」

「ねえ、あなた、わたしのこと好きなんでしょ。」

「えっ?」

「あなたの相手ならいくらでもしてあげていいのよ、こんなふうに。」

 

  京子が悦樹の手を離すと、こんどはすぐ身体を後ろ向きにして、三つ編みのツイン・テールの髪の毛もはげしく回転して、それに悦樹は見とれて起き上がるのも忘れていた。そして、下半身を裸にしていたから、お尻も裸のまま露骨に見えていた。

 

  「ああっ、はあ。」

「うふふふふ。」

 

  裸のお尻の上に三つ編みの毛先が垂れ下がってきて、悦樹の顔をなで始めた。悦樹は少し上体を起こしていたが、そのまま京子の三つ編みの髪の毛先に導かれるようにして、京子のお尻に顔をうずめていった。

 

  「ううああ、うぐぐ。」

「くくくく。」

 

  京子はまた、悦樹のはいていた体操着や下着もはがして性器を露骨につまみ、指でまさぐっていた。そして悦樹の性器に自分の三つ編みの髪を左右から巻きつけて興奮させ、悦樹も精液を出してしまった。

 

  どくどくじゅるるるるるびちゃーっ。

 

  「あああ。」

 

  京子の髪の毛に侵入していた侵略者のウィルスもまた、悦樹の性器のなかに逆流して悦樹の体内に入っていったのであった。

 

  「おほほほほ。あなたはこれでわたしの思いどおり動くのよ。」

   

   

   

  小学四年生の少女に連れていかれた純三も、少女の住んでいる家に連れ込まれ、ふとんの上に寝かされてしかも後ろ手を縄でしばられ、口もゴムテープでふさがれてさるぐつわにされていたのである。目がさめて、純三はおどろいていた。

 

  「ううぐうぐ。」

「気がついたようね、おにいさん。」

 

  目の前には、長い黒髪をひとつに束ねていた少女が学習机を前にしてすわっていた。まさか、こんな少女が自分にこんな残酷なことをするなんてと驚きもしたが、たしかに少女のうしろ姿をじっと見続けていたはずだったと純三は思った。その少女がどうして自分のことをここまで連れていたのかと不思議に思った。

 

  「うぐうぐ。」

 

  放してほしい、口にふさいだゴムテープもとってほしいと言いたげだった純三だが、少女はまるで無関心をよそおうばかりだった。

 

  純三は、たしかに少女のことを見つめ続けて少女にいやな思いをさせたかもしれないが、こんな仕返しをされてしまう道理はないといいたげだった。だが、その次の瞬間、信じられないことが起こった。少女は純三のはいていたズボンのベルトをはずし、ズボンとさらに下着もぬがせはじめ、純三の性器をにぎり始めたのである。

 

  「ふふふふ。」

「う…うう…。」

 

  少女は純三の身体にまたがって純三の顔に背を向け、自慢の長い黒髪を純三に見せていた。純三はより興奮して、性器はぼっきし、ついに精液も流れ出ていた。

 

  「くくくく。」

「はあ…はあ…。」

 

  純三は首をまた後ろにもたげた。少女が振り向いて純三の口をふさいだテープをえいっと乱暴にはずし、純三は痛がった、もはや、息苦しくなっていて純三もしゃべることができなくなっていた。

 

  「いまだわ。」

 

  少女は着ていたスカートをはずし、下着をいっぺんにぬぎ取っていった。そして、純三の顔の上にまたいで露骨な下半身を見せていた。

 

  「どうして、こんなことを。」

「ほほほほ、わたしのここをなめてみて。」

 

  純三も起き上がって、少女のおまんこを命令どおりなめさせられていた。少女もひとたばにした髪の毛を前に垂らしてその毛先がかかって純三の額をなでるようにしていた。

 

  「はあ、はあ。」

「うふふふふ。」

 

  だが、まもなく純三のぼっきした性器に少女が髪を巻きつけていた。

 

  どくどくっ、びちゃあー!

 

  そして、純三が出して逆流した精液が純三の性器に入り込んでいった。

 

  「うう。」

「おほほほ。おにいさんはわたしの思い通り動いてもらうわ。」

   

   

   

  「おまたせしました。これから、学年新聞を配ります。今月は、わたしたちB組が当番でしたから、わたしたちが書いた記事が、この新聞に載っています。みなさん、しっかり読んでくださいね。」

 

  ここは、岩井百合子の通う高校一年のB組の教室で、生徒全員にわら半紙に印刷されたその学年新聞が配られていた。

 

  「でもさあ、これ、ほとんど女子の記事じゃねえか。あんまりおもしろくないよな。」

「あら、男子なんか、いそがしくてやる気がないなんて言って、だれも協力しなかったから、女子ばかりの記事になったのよ。」

 

  ちなみに、その女子によって企画された記事のひとつは、男子の女子に対する嗜好についてのことで、つまり、男の子は女の子のどういうところに関心を持っているかというもので、もちろん事前にアンケートも全学年でとられたが、大部分の男子は、やる気のなさそうな答え方をしていた。その結果、発表された回答では、断然胸が多く全体の六割以上を占めていた。次に尻、足の順で、髪の毛と回答した男子はごく少なかった。

 

  その髪の毛に関する質問では、ショート、セミロング、ロングのうちどれが好きかというものがあったが、ショートはまず1割未満で不人気であることは明確であった。ところが、ロングが人気があると思ったら意外に低い25%程度で、全体の三分の二はセミロングという回答になっていた。

女子の間で、この結果に関する会話がかわされていた。

 

  「まあ、髪の毛に関しては、無回答というのがほとんどなかったから、けっこう男子も関心持ってよく見ているというわけね。」

「けれど、ロングが25%なんて意外と低かったよね。」

「そういえば、実際にロングといえる子って、女子のうちどれぐらいいるの。」

「ええっと、うちのクラスなら20人のうち、まず佳織さんと明美さんが腰まであるし、それから晴美さんと祐子さんが胸のあたりでしょ。美由紀さん、早苗さん、恵美子さんもわきの下までとどくぐらいまであるから、だいたい7人になるかしら。」

「それじゃ、女子全体の35%ね。だけど、男子でロングが好きなのは25%じゃ、ロングの子はあぶれちゃう子が出るじゃん。」

「そういうことになるわね。」

 

  笑い声が交錯してにぎやかだったが、そもそもは男子の間で、ロングヘアの女の子にかぎって顔はかわいい子がいないという噂もあって、たしかに体型もあまりよくない、太っているほうにロングヘアの女子生徒がこの学校には多いことも事実のようである。

 

  ところが、このクラスにはもうひとりロングヘアの者があらわれるようになる。

この日、衣替えで男子も上の制服をぬいでワイシャツ姿で全員登校となったが、そのなかにはなんと後ろ姿を黒髪で覆っていたひとりの男子が教室に姿を見せたのであった。ずっと学校を休んでいた紀美也が、この日の三時限目になって急に姿を見せ、周囲の者を驚かせたのである。

 

  「おい、紀美也が。」

「きゃあ、紀美也くんがなに?」

「ほら、髪の毛が、まるで女の子よ。すごい、サラサラのストレートで、腰まである。佳織さんや明美さんと同じくらいあるわ。」

「いったい、あいつ、どういうことだ。」

 

  紀美也は、だまって自分の席にすわった。周囲の者が声をかけても全く無視した状態だった。

その、髪の毛のために隠れている紀美也の顔からは、不気味な笑いも浮かべられていたのである。

 

  「ふふふふ。」

 

  (つづく)




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