第三話

   

   

  紀美也の、どこからみても美少女?のような姿に教室内がざわめいていた。

 

  「き、きもいわね。先生が来たらびっくりするわよ。それで授業受ける気?」

「おい、いいかげんなんとか答えろよ、さっきからにやにやしているだけで、だまりこくってばかりいて。」

「ほっといたほうがいいかもよ。」

「いや、こんなんじゃ、おちつかねえな。」

 

  しばらくすると、紀美也はだまって席を立ちはじめた。そして、ゆっくりと教室内の生徒たちがすわっている机の横を歩いて前のほうから教室の扉をあけて出ていったのであった。

 

  「もうすぐ授業が始まるというのに、まあ、ほっとこう。」

「とてもじゃないけれど、紀美也くんのことなんか、先生にしゃべれないわ。」

「ばかにされそうだしね。」

 

  結局、その朝は担任の教師が来てもみんなだまっていて紀美也は欠席という扱いになった。教師が入ってくるほんのわずかな前に紀美也が出ていったので、ひょっとしたら会っていたかもしれないと思った生徒もいたが、明らかに紀美也だとわかる姿でもなかったから気づかれなかったようである。

 

  事実、紀美也は女子便所に入っていくところを他のクラスの担任教師に見られていたが、当然女子生徒と思われるような外見をしていたから一切確認されるようなこともなかった。

 

  女子便所に入った紀美也は、洗面台の鏡にうつっている自分の姿を見ながらまた前に垂れていた長い髪をつまむのだった。

 

  「ふふふふ。どこから見ても立派な女のようだな。」

 

  不気味に笑いながら口にあてている手の、その手首には黒いヘアゴムも巻かれている。そのヘアゴムで自分の髪を半分ずつ束ねてツインテールの髪形にしようとしている紀美也だった。

   

   

  そのクラスは、二時限目が体育の授業になっていて、休み時間に全員が体操着に着替えていたが、男子は教室で、女子は更衣室に行って着替えることになっていた。したがって、女子も教室より更衣室の近くにある便所で用を足す生徒が多かったが、早めに着替えを終えてひとりだけ教室の近くに戻ってきた女子生徒がいた。クラスで髪の毛を最も長くしている長山明美で、すでに、男子も着替えを終えて教室に誰も残っていないのを見計らって入ると、自分の席においてあったかばんから黒いヘアゴムを取り出していた。腰まである長い髪を一本に束ねて体育の授業を受けようと思ったが、やはり二本の三つ編みにしようとしてヘアゴムを取りに戻ってきたのである。そして、紀美也が一室に隠れているとも知らず女子便所の洗面台で髪を編み、はちまきを巻いているのであった。その時、一室の扉が開いて紀美也が襲いかかってきたのである。

 

  「きゃーっ、あなたは紀美也くん、どうして女子便所に、ああっ、や、やめて。」

「くくくく。」

 

  明美は、鏡でツインテールの姿になっている紀美也がいたことがわかって驚くのであったが、すでに紀美也が明美の背中に抱きついて三つ編みにしたばかりの明美の髪の毛を両方ともそれぞれの手でわしづかみにしてひっぱり、体操着のブルマーに性器をつっこませて興奮すると精液を出して明美の下半身を濡らしていくのであった。きっちりと分けられた明美のヘアラインをまた紀美也はおいしそうに舌でなめるのであった。

 

  「いやあーっ!」

「おまえも仲間になるんだよ。」

 

  紀美也の髪が両方とも舞い上がって、明美の首に左右から巻きついてきたのであった。三つ編みのおさげにしたことで襲われやすくなっていた。

 

  「く、苦しい、ううっ…。」

 

  紀美也は、明美の胸や尻にもじかにさわってやりたい放題であった。やがてぐったりした明美だが、すぐに目覚めてうつろな表情を浮かべていた。

 

  「ふふふふ。体育の授業が終ったら、倉林佳織を連れてこい。」

「わかりました。」

 

  クラスで、明美ともうひとり髪の毛を腰まで長くしている佳織を連れてくるように言われたのであった。佳織は、いったんポニーテールにした髪から一本の三つ編みを結っている女子生徒だった。

 

   

  体育の授業が終った後、その佳織が明美に誘われて、紀美也のいる女子便所に閉じ込められ、紀美也に襲われて佳織はぐったりとなってしまった。佳織の一本にした長い三つ編みの髪束を、紀美也はぼっきした性器にまきつけて興奮し、精液をも出させて汚していった。目覚めた佳織もうつろな表情になっているだけであった。その女子便所にとつぜん、黒い雲のようなものが外から入りこんでいてなかからはひとりの長い髪の女がまた現われていた。紀美也を下僕にした張本人の、嶺岸昌代だった。

 

  「ふふふふ、もう女の子ふたりを仲間にしたのね。授業終ってからでいいから、みんな帝王様のところへ集まるのよ。」

「はい。」

「はい。」

 

  三人ともうつろな表情で返事をしていた。

   

   

  「うふふふ、ほら、できたわ、おにいさん。」

「まあ、ぼくの髪の毛が…。」

 

  岩井百合子の兄、純三は、小学生の少女である桐原真奈美によって襲われ、恐ろしい悪魔の仲間と化していたのである。やはり髪の毛を長くさせられて、腰まで届いたその髪の毛を真奈美が後ろからとかして両サイドの前髪をそれぞれ三つ編みにさせられていた。その、垂れた髪をまた真奈美の部屋にあった三面鏡で見せられていたのであった。

 

  「男のくせに、女の子みたいに髪の毛長くしてみたいと思ってたんでしょ。」

「え、ええ。」

「ふふふふ。おふろがわいたから、いっしょにはいろう。いっぱいエッチなことできるわよ。」

「エッチなことって…。」

「ふふふふ、おにいさんはあたしの奴隷だから、もう逃げられないのよ。」

 

  その百合子だったが、自分の兄やクラスメートが悪魔の手下になっていることも知らず、ふだんと変わらない雰囲気のなかで友人たちと過ごしていたのであった。いつものように仲の良い小原孝子と同じ通学路を帰りがてらしゃべったりしているのであったが、孝子にも弟がやはり悪魔に心が侵されていることを知らない、危険が身近にあることなど思いもよらないでいた。

 

  弟の悦樹も、中学で同じ学年の京子に誘われて悪魔の手先となっていたのである。

   

  百合子が帰宅した頃、兄の純三も真奈美に誘われて侵略者の帝王が急遽住みついたという廃屋を訪れていた。そして、京子と悦樹、最年長の昌代と紀美也、紀美也が新たに仲間に加えた明美と佳織も揃って、帝王を前にして横に半円を描くようにして並んでいたのである。

 

  「ふふふふ、おまえたちはたのもしい、これからわが星の戦闘員として行動するようになるのだ、みんな。さらに仲間をふやして、この地球上をわが星の領土とするために力を授けられている。男の子でも髪の毛が長く伸びているのはそのためだ。しっかりと行動に移せ。」

「はい。」

 

  少年少女たちがうつろな表情のなかで、返事だけは力強く揃っていた。帝王から向かって左側より、ツインテールの髪をそれぞれ三つ編みにして垂らしている中学生の岡京子、その京子と同級生で両サイドの耳もとにヘアゴムをくくって後ろの髪といっしょに背中に垂らしている小原悦樹、一本に束ねた髪を背中に垂らしている小学生の桐原真奈美、その真奈美に襲われて両サイドの前髪を三つ編みにして後ろの髪といっしょに背中におろしている岩井純三、ポニーテールを一本の三つ編みにしている倉林佳織、また昔の女学生のような三つ編みのおさげ髪を腰まで届かせている長山明美、ツインテールの髪を腰まで届かせている中野紀美也、その紀美也を下僕にしたお尻をこえてひざ裏まで黒髪を届かせている女子大生の嶺岸昌代の全部で8人が、侵略者の帝王の前に並んでいたのであった。

   

   

  その夜、百合子は帰っていた兄の純三の様子を見て、頭のようすがいつもと変わっているように感じた。実は、ショートのかつらをかぶって長く伸びていた髪の毛を隠していたのである。

 

  「おにいちゃん、なんかようすが変だわ。」

 

  兄の出ていった後に風呂場に入った百合子だったが、浴槽の傍らで一本の髪の毛が落ちていたことに気づいた。両手でその毛をピンと伸ばしてみると、百合子の背丈に近づくほど長かったので百合子は驚いてしまった。

 

  「うちには、こんな髪の毛が長い人なんかいないはずだわ。」

 

  すでに入浴をすませて純三は自分の部屋のベッドに入って寝ていたため、百合子は真相をつきとめようと、風呂場から出て寝間着を身につけたあと、自分の部屋へ寝にいくつもりで両親にお休みのあいさつもすませてそっと兄の部屋を覗いてみることにしたのだった。

 

  だが、百合子はそのあきかかっている兄の部屋の扉から目を通すと、そこで異様な光景を見たのである。

 

  「おにいちゃん、起きてたんだわ。いったいなにをしてるのかしら、あっ。」

 

  純三は女もののヘアブラシを手にして自分の髪を念入りにとかし、そのあと自分の髪をふたつに分けて片方ずつ三つ編みを結いはじめ、手首に巻いていた白いヘアゴムをその毛先にゆわえて止めていたのであった。その白いヘアゴムは両方とも真奈美の使っていたものである。そして、編んで前に垂らしていた髪の毛も両方編み終えると、背中にぱらっと二つにまとめたその髪をはらい、この時百合子も初めて自分の兄が髪の毛が長くなっていたことを知ったのであった。

 

  「おにいちゃんが髪の毛を女の子みたいにあんなに長く、しかも自分で三つ編みまでするなんて…、それにおふろばの髪の毛はおにいちゃんだったなんて…。」

 

  ぼうぜんとするばかりで、自分の兄に声もかけられなかった百合子だった。その髪の編み方も実にていねいでヘアラインもきっちり浮かび上がるほどよく分けられているおさげ髪になっていた。

 

  「そういえば、紀美也くんもあんな髪の毛に…、ああ…。」

 

  百合子は、けさ同じクラスにいた紀美也も女の子顔負けのきれいなロングヘアで現われていたことを思い出し、急に自分の身の回りで男子の髪の毛が長くなっているという状況があいついで驚くのであった。ところが、百合子は兄のはらった三つ編みの髪を見るとしばらくしてめまいを起し、その場に前のめりになって倒れたのであった。

 

  「いったい…、どういう…、ことかしら。急に眠くなってきたわ…。」

 

  百合子はその場にばったりとなり、気絶してしまった。

 

  「ふふふふ。」

 

  口にまた手のひらを当てながら純三が不気味にその場にすわっているのであった。

(つづく)




暗黒催眠空間トップページ