催眠小説 ライターの炎


ねえねえ、ちょっといいかしら

そう、そこのあなた

いいかしら?

大丈夫、別に怪しい勧誘とかじゃないわよ

じゃあなんなのかって?

そうね…いわばカウンセラーのようなものかしら

今日は、あなたとちょっとお話をしたいと思って呼び止めたの

急いでるって?

嘘ね

あなたの心は確かに急いでいるかもしれないけど、それは本当の忙しさじゃない

何かに追い立てられているのかしら

まあ、仕方ないかもしれないわね

この時代でのんびり生きている人間なんてむしろ少ないのかしら

要件を言えですって?

あら、ごめんなさい

すっかり忘れていたわ

では、本題に入りましょう

これからちょっと私についてきてもらいます

大丈夫、変な場所じゃないわよ

私の職場よ

・・・・・

ついたわよ

あら、意外そうな顔をしているわね

こんなに綺麗な家だと思わなかったですって?

まあ、そうかもしれないわね

ここはあくまでも職場だから、清潔にしていないといけないの

何の職場かは、すぐに分かるわよ

さっきも言った通り、私はカウンセラーのようなことをしています

といっても、普通のカウンセリングとはちょっと違います

所謂「催眠」というものを使って、皆さんの疲れを癒しているの

急に目がうさんくさいモノを見る目になったわね

催眠と言ったって、別に記憶をなくしてあなたに悪いことをさせたりするわけじゃないのよ?

ただ、あなたの心を癒すだけ

大丈夫、安心して

これから行う催眠は、本当に簡単なものよ

・・・そう、ありがとう

じゃあ、そこのベッドに横になってくれるかしら

そう、そうよ

そうしたら、ゆっくり呼吸をしてみましょう

すって・・・はいて・・・すって・・・はいて・・・

身体の緊張をほぐすように・・・・・

すって・・・はいて・・・すって・・・はいて・・・

呼吸を続けていると、少しずつまぶたが重くなってきます・・・

ほら・・ほら・・もうあけていられない・・・

・・・まぶたは完全に閉じてしまったようですね

では、そのまま・・・

次は、イメージをしてみましょう

そうですね、蝋燭・・・いや、あなたはライターの方が思い浮かべやすいですよね

では、ライターを思い浮かべてみましょう

普段あなたが使っている、ライター

100円で売っているライターかしら

それとも何万円もするような高級ライターかしら・・・

そのライターに火をともしてみましょう

カチッカチッ・・・つかないですね・・・

もう一度試してみましょう・・・

カチッ・・・カチッ・・・

おや・・まだつきませんね・・・

次は、もう少し集中してやってみましょう

ライターの先を見て・・・

カチッカチッ・・・つきましたね

そのまま、火から目を離さないでください

ゆらりゆらり・・・

幻想的に火がゆれています・・・

ゆらり・・・ゆらり・・・

あなたはライターの火から目を逸らすことができません

ゆらり・・・・・ゆらり・・・・・

ほら、あなたは少しずつ少しずつこの火に吸い込まれて行く・・・

ゆらり・・・ゆらり・・・ゆらり・・・ゆらり・・・

ほら、だんだん、目の前が火に覆われる・・・

ゆらり・・・ゆらり・・・

暖かい火に包まれる・・・

ゆらり・・・ゆらり・・・

・・・どうでしょうか

あなたは今、とても気持ちの良い暖かさを感じています

生命の炎・・・

生命を生み出し、育み、無に還す生命の炎・・・

あなたはその中にいます・・・

いまからあなたはここで一度無に還ります・・・

全てを焼き尽くすのです・・・

これから少しずつ、あなたの中のいらないモノがもえていきます・・・

例えば、辛い記憶

毎日会社で上司に叱られ、同僚からは白い目で見られ

家に帰れば家族に嫌がられる

そんな辛い記憶

例えば、疲れ

営業に回り、取引先を探しても、門前払いされる暑い夏の昼間

いくら寝ても、明日のことを考えると抜けていかない

そんな疲れ

そんな記憶や疲れがあなたの中で燃えていきます・・・

轟々と

轟々と

轟々と

燃えていく

轟々と

轟々と

轟々と

燃えていく

轟々と

轟々と

轟々と

燃えていく

・・・・・

これであなたの心を追い詰めていたものはなくなりました

目を覚ますとき、あなたは今までは信じられなかったくらいすっきりと目が覚めるでしょう

今から10から0まで順番に数えます

そうすると、少しずつあなたの意識はライターの炎の中から現実世界へ戻ってきます

そして、わたしが0と言うと同時に手を叩くと、あなたの意識は覚醒します

10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0(パチン)

こんにちは

お目覚めはどうですか?

すっきりしている・・・ですか

それはよかった

それでは、カウンセリングはこれで終了です

代金ですか?結構です

サービスですよ

それでは、また

何か、心に重さをかんじた時は是非ここまでいらっしゃってください

いつでもサービス価格でお迎えいたします

ありがとうございました






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