私の名は朝倉麻衣(あさくら まい)。半年後に受験を迎える高校三年生の女の子だ。趣味は特になし。チャームポイントは長くて艶やかな髪。もちろん顔だってそれなりに可愛い部類に入る。一般的には美少女と呼ばれる事もあるくらいだ。

 で、そんな美少女が今何をしているのかと言うと……

「ああああああああっ、全然わからないぃぃぃぃぃ!」

「ほら、もうちょっと頑張って。麻衣ちゃんは頭が良い子なんだから、きっと出来るって!」

 三歳年上の家庭教師に、勉強を教えてもらっている真っ最中だったりする……。

 

 

 

「はぁぁぁぁ……」

「ため息なんか吐いてる場合じゃないでしょ? ほら、次の問題」

「あぅぅぅぅ……」

 思わず机の上に突っ伏し、頭を抱える。そんな私の様子を見ていた先生は、不意に私の頭を撫でた。

「あっ……」

「……ちょっと休憩にしようか。麻衣ちゃんも疲れてるみたいだし」

「わっ、私紅茶入れてきます!」

 私は赤面した顔を見られないよう、慌てて部屋を出てキッチンへと向かった。

「もう、先生ったら……」

 頭を撫でられた時の感触を思い出し、思わず顔がにやけそうになる私。

 賢明な読者諸君はもうお分かりだろう。私は先生に恋しているのだ。

「……と、いけないいけない。紅茶紅茶、っと」

 初めて先生に会ったのは三ヶ月前。成績が思うように伸びない私を心配し、両親が彼を連れてきたのだ。何でも先生は私が目指している大学に通っているそうで、それが最終的に彼を選ぶ決め手となったらしい。

 ちなみにこの先生だが……一言で言うと、すごくカッコいい。すらりとした体格に優しそうな顔を備えていて、尚且つ性格もいい。私がわからないところも愚痴一つ言わずに根気強く教えてくれるし、頑張ると誉めてくれる。視力が悪いらしく眼鏡をかけているが、それは決してマイナスにはならず、寧ろ知的に見える分プラスと言ってもいい。いわば、理想のお兄さん的タイプってやつだ。

 で、この先生だが……実はちょっとだけ困ったところがある。いや、別に迷惑というわけじゃなく、寧ろ嬉しいくらいなんだけど……。

 よく、私の頭を撫でるのだ。本人にとってはスキンシップのつもりなのかもしれないが、思わず意識してしまう私にとっては生殺しのようなものでちょっと困る。

「先生、彼女いるのかなぁ……」

 何度も聞こうとしているが、一度も聞いた事の無い質問。もし、「彼女? いますよ」などとでも言われてしまったら……と思うと、聞こうという気にはなれなかった。

「こ、紅茶持って来ました!」

 なるべく普段どおりにしようと心がけながら、部屋の中に入る。

「ああ、お帰り。結構時間がかかってたから手伝いに行こうかと思ったけど……必要なかったかな?」

「いっ、いえ、その……ありがとうございます」

「そんなこと、気にしない気にしない。さて、それじゃ紅茶を頂こうか」

 そう言うと、先生は私の持ってきた紅茶を取り、砂糖をスプーン二杯入れてかき混ぜた。私も紅茶に砂糖を入れ、少し口をつける。

「あの、先生……私、ちゃんと合格できるかな?」

「……どうしたの、急にそんなこと言い出すなんて」

「だって……もう本番半年前なのに解けない問題も多いし……こんな調子で本当に合格できるのかな、って」

 先生が来てくれてから私の成績はぐんぐん上がっている。今まで第一志望の大学はC判定がやっとだったのに、この前の模試ではB判定を取る事が出来た。着実に力はついてきてるのは間違いない。それはわかってはいるんだけど……やっぱり、不安に思う気持ちはある。

「そっか……じゃあ、麻衣ちゃんが合格できるように、おまじないをかけてあげようか?」

「おまじない? それって、催眠術か何かなの?」

「まあ、そんなところかな。で、どうする?」

 そう言われ、私は少し考え込む。やがて、結論を出した。

「……じゃあ、お願いしよっかな。あっ、でも寝てる間にえっちな事とかしちゃ駄目だよ!」

「しないしない。そんなに信用ないかなあ、僕……」

「そういうわけじゃないけど……一応言っただけだから、あんまり気にしないで」

 先生が少し落ち込んだ様子を見せたので、慌ててフォローする私。

「じゃあ、始めるよ。まずは、大きく息を吸って……吐いて、吸って……吐いて……」

 こうして、先生の催眠術は始まった。

 

 

 

「今、貴女は自分の心の中にいます。貴女がそこにいる時には、私の声しか聞こえません。他の音は一切聞こえません。いいですね?」

「はい……先生の声しか聞こえない……他の音は聞こえない……」

(うんうん、いい感じでかかってるみたいだね)

 成果に満足しながら、私は彼女に暗示をかけていく。

「貴女は私の声を聞くと、とても気持ちいい気分になれます。私の言う事に従うと、更に気持ちいい気分になれます。とっても気持ちがいいので、貴女は私の声のいう事を聞いてしまいます。どんな命令をされても、絶対に逆らえません」

「はい……声を聞くと、気持ちいい気分になれる……言う事に従うと、もっと気持ちいい気分になれる……気持ちよくて、絶対に逆らえない……」

「貴女は本当は頭がいい人です。一度勉強した事は全部頭の中に残り、絶対に忘れる事はありません。また、どんな難しい問題でも、一度学んだ事から解き方を見つけることが出来るようになります。」

「一度勉強した事は忘れない……どんな難しい問題でも解き方を見つける事が出来るように……」

「そして、勉強に対する苦手意識もなくなります。頑張ればどんな問題も解けるようになったのですから、もう勉強なんて怖くありません」

「頑張ればどんな問題でも解ける……だから勉強なんて怖くない……」

(ここまでは良し。さて、次は……)

「貴女は私に頭を撫でられるととても気持ちよくなります。撫でられる度に貴女の体はどんどん敏感になっていきます。撫でられ続ければおかしくなるくらいに気持ちよくなれますが、決して絶頂に達する事はありません。他の人に撫でられた場合はなんともありませんが、私に撫でられた時はそうなります」

「先生に撫でられると気持ちよくなる……撫でられる度に敏感になる……おかしくなるぐらいに気持ちよくなれるけど、絶対にイけない……他の人にされても、なんともない……」

「はい、よく出来ました。それでは貴女は私が手を叩くと目を覚まします。目を覚ました時には今までに言われた事は全て思い出せなくなりますが、言われた言葉は全て心の奥深くに刻み込まれていて、ちゃんと覚えてます」

「はい……手を叩かれると目を覚ます……目を覚ますと言われた事は思い出せない……言われた言葉は全部覚えてる……」

「では、1、2、3、で手を叩きます。1、2、3!」

 パチンッ!

 

 

 

「んっ……あれ、先生? 私……寝てた?」

「そうみたいだね。さて、そろそろ勉強に戻ろうか」

 そう言われ、私は再び机に向かった。先程わからなかった問題に手をつける。

「えっと、確かここの値からXを差し引いて……で、変異値は……こう、ですか?」

「どれどれ……うん、合ってるよ」

「やったぁ!」

 思わず顔をほころばせる私。

「よくやったね、麻衣ちゃん」

 そう言うと、先生はいつものように私の頭を撫でてくれ……んっ!?

「えらいえらい、よく頑張ったね」

「ひゃっ……せ、先せ……あうぅっ!?」

 何これっ!? 撫でられてるだけなのに……体が……体がっ、気持ちいいっ!?

「本当にいい子だね、麻衣ちゃんは」

「あっ、あのっ! てっ、手を止め……ふあぁぁぁっ、だっ、駄目で……ひゃあうっ!?」

 私の体、一体どうなっちゃったの!? 何でこんな、こんな……うぁぁっ!?

「……おや、どうしたの麻衣ちゃん。具合でも悪いの?」

 先生の手がっ、気持ち良過ぎるっ! こんなのって、絶対おかしい……

「麻衣ちゃん、ど・う・し・た・の・か・な?」

「ふっ……ああああっ!?」

 気持ちいい!? 先生の手だけじゃなくて、声も気持ちいい!?

 何!? 一体何が起こってるの!?

「麻衣ちゃん、気持ちいいかい?」

「あっ、ふあっ! きっ、気持ちいい、です……ああっ!?」

 何で!? 何で私そんな恥ずかしい事を口にしてるの!?

「ああ、先生……もう、やめ」

「逆らっちゃ、駄・目・だ・よ」

「ひゃん! わっ、私っ……もうっ……あああああっ!? 何、何これぇぇぇっ!? 何でぇ、何でイけないのぉぉぉっ!?」

 気持ちいい! 先生の声も、先生の手も、気持ちいい!

 でも、どうしてもイけない。イきそうなのにイけない!

「うあああああっ!? せっ、せんせぇ……私、私ぃ……っ!」

「ふふふ、気持ちいいのにイけないんだね。どう、辛い?」

「あああああっ!? せんせぇ、助けてぇぇぇ! このままじゃ私、おかしく……うあああっ!?」

「まだだ〜め。もっと感じなさい」

 

 

 

「くあああぁぁぁっ!?」

 何度も何度も頭を撫でられる。その度に体をビクビクと震わせる私。それを見て先生はにっこりと微笑む。

「大分いい感じに出来上がってきたね。それにしても……麻衣ちゃんの髪は綺麗だね。とっても撫で心地がいいよ」

「せっ、せんせぇ……お願いっ、手を止めてぇ……でないと私、壊れちゃ……うううううっ!?」

「そうだね、あんまり意地悪するのもかわいそうだよね。でも……その前に」

 そう言うと、先生は私の耳に口を近づけた。その間にも先生の手は私の頭を撫で続けている。

「麻衣ちゃん、僕はねぇ……髪の綺麗な娘が大好きなんだ。だからもちろん、麻衣ちゃんのことも大好きなんだよ。麻衣ちゃんは僕のこと、好き?」

「あっ、あぁぁぁ……好き……で、す……」

「そっか、良かった。それじゃあもう一つ大事な事を聞くよ。麻衣ちゃん……僕のものになってくれるかい?」

「せっ、せんせぇ、の、もの……に?」

「そう、僕のものに。そうなれば、今みたいな気持ちいいこともいっぱいしてあげるよ。どう、僕のものになる?」

「あぁっ……なっ……なり、ま……す……」

「いい子だ。それじゃ麻衣ちゃん、今からキスしてあげる。僕にキスされると、麻衣ちゃんは僕の虜になっちゃうよ。そしてキスされる度に、もっともっと僕の事が好きになっちゃうんだ」

「ふっ、はあぁぁっ……キスされると、虜になっちゃう……もっともっと、先生の事が好きになる……」

「ふふ、よく出来ました。それじゃ……いくよ」

 そして、先生は私の頭を撫でていた手で私の体を抱き寄せ、長い長いキスをした。

「んっ……っはぁ、はぁっ……」

「ふふ、もう一度」

「あっ……」

 何度も何度も唇を奪われる。口内に先生の舌が入り込み、私は貪り尽くされていく。そして、その度に私は先生が愛しく感じ、気がつけば自ら手を回して抱きついていた。

「はぁぁっ……せんせぇ……」

「可愛いよ、麻衣ちゃん。今から君を抱いてあげるからね」

 先生はそう囁くと、私の服を脱がし始めた。パンツを脱がされる時に自分のあそこが濡れていたのを目の当たりにし、私は思わずかあっとなる。

「この調子だと、前戯は必要なさそうだね。それじゃ、いくよ」

 そう言うと、先生はズボンの前から取り出したモノをぴたりと押し当て、ゆっくりと腰を進めていった。

「あっ……うっ、せんせぇ……」

「痛い? そっか、初めてなんだ。じゃあ、1、2、3で麻衣ちゃんの感じる痛みはなくなって、かわりに気持ちよくなれるよ。いい? それじゃ、1、2、3!」

「ふぁっ……ひゃあああああっ!?」

 先生の言葉通り、さっきまでの痛みは跡形もなく消え去った。そして入れ違いにやってきた快感に、私はのけぞった。

「せんせぇっ! 私、私っ!」

「いいよイっても。何回でもイって、壊れるぐらいに感じちゃえ!」

「あっ、あああああああああ――――っ!」

 そして、私は先生に抱かれながら何度も何度も絶頂に達した。

 

 

 

 ――そして、半年後。

 

7632、7632……あっ、あったぁ!」

 私は第一志望の大学に見事合格していた。少しでも早く成果を伝えたくて、私は携帯電話のボタンをプッシュする。

 プルルルル、プルルルル……

「あっ……麻衣です。先生、私……合格できました!」

「そっか、おめでとう! 今までよく頑張ったね」

「はい……あの、それで……」

「ふふふ……何かな?」

「今すぐ先生のところに行きますから……私の事、いっぱい撫でてくださいね」

「……いいよ、たっぷり可愛がってあげる」

「あっ、ありがとうございます! それじゃ先生、また後で」

「ああ、待ってるよ」

 携帯をカバンの中に仕舞い、私は先生のもとへ向かった……。




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