慰めて・・・

 

アルティ・エストランス

 

 

俺――高山悟(たかやま さとる)には、

隣の家に住んでいる幼馴染がいた。

彼女――篠塚里恵(しのづか りえ)と俺は、

小中高と一緒の学校に通っていた。

彼女の事を意識するようになったのは、

俺達が中学生になってしばらく経ってからだった。

 

 

やがて彼女の事が好きなのだと気付いた俺は、

高校二年生の時に彼女に告白し……

あっさりと振られた。

「ごめんね……悟の事は嫌いじゃないけど、

私女の子の方が好きなんだー♪」

……あの時の言葉は、多分一生忘れられない。

 

 

「……やれやれ。今日もよく働いた、っと」

バイト先からの帰り道、誰に言うとでもなくそう洩らす。

辺りはもう真っ暗になっていた。

さっさとアパートに戻るべく、足を進める。

 

 

(しかし、今日は忙しかったなぁ……

まあ最近暑いから、皆喉が渇くんだろうな)

今日は飲料を買う客が多かったのを思い出し、思わず苦笑する。

少し喉が渇いていたので、近くの自販機で炭酸飲料を一本買った。

 

 

フタを空け、中身を一口飲む。

舌に広がる炭酸の感触が、疲れた体には心地良く感じられた。

(そういや、もうすぐ夏か……あいつに告白したのも、

このぐらいの時期だったっけ)

彼女に告白してからもう三年近くが経つ。

だが俺は今でもまだ、彼女の事を吹っ切れてはいなかった。

 

 

「……いつまでもうじうじしてたって、

どうにもならない事ぐらいわかってはいるんだけどな」

とはいえ、頭と心とは別物である。

いくらわかっていたところで、そう簡単に諦められるものではない。

そんな事を考えている内に、

いつの間にかアパートの前まで来ていた。

 

 

階段を上り、玄関の鍵を開けて扉を開ける。

「ただいま〜、って言っても誰もいないけど……って!」

「あっ、悟。おかえり〜!」

俺を迎えたのは、片手にビールの缶を持った里恵だった。

思わず瞬きするが、眼前の彼女は消えはしない。

どうやら本物のようだ。

 

 

「何でお前がここにいるんだ! 

つーか、どうやって入った?

合鍵の隠し場所は変えたはずだぞ!」

 

「合鍵の隠し場所が植木鉢の下なんて無用心だよ〜。

もっとちゃんとしたところに隠さないとね〜♪」

 

 

「要は勝手に入ったわけか……

しかも、人の家のビールまで勝手に飲んでるし」

まあ、こいつの傍若無人っぷりはいつものことなのだが。

しかし、毎回毎回人の合鍵を勝手に使うのはどうかと思うぞ、

人として。

 

 

「もう、硬い事言わないのー。よく言うでしょ、

悟の物は私の物、私の物は悟の物って」

「言わねえよ」

しかも微妙に間違ってるし。それじゃ、単

なる物々交換じゃねえか。こいつ、もう酔ってるのか?

 

 

「……で、今日はどうしたんだ?

付き合ってた女の子にでも振られたか?」

俺がそう言うと、途端に里恵は目を潤ませた。

どうやら図星だったらしい。

「聞いてよ、悟〜! 理恵子ったら

『里恵の事は嫌いじゃないけど、愛してるのは彼だけなの』

なんて言うのよ! 酷いと思わない〜?」

 

 

「あーはいはい、酷いよなあ」

里恵の言葉に、生返事で答える。

つーかそれで酷いと言われるなら、お前も十分酷いと思うぞ。

お前が昔俺に言った言葉と大して変わらないじゃねえか。

このレズ女め。

 

 

「悟ぅ……もっとちゃんと慰めてよ〜!」

「わっ! こっ、こら!」

突然、里恵が俺に抱きついてきた。

慌てて押し退けようとするが、背中に腕を回されている為、

容易には振りほどけない。

 

 

「だああ、くっつくなって!

それ以上やると、襲うぞマジで!」

気恥ずかしさもあり、そんな事を口にする俺。

里恵は少しの間きょとんとした顔をしていたが、

その後ゆっくりと体を離した。そしてぽつりと呟く。

 

「…………悟なら、いいよ」

「そうそう、わかればいいんだわかれば……って、はい!?」

「悟なら、いいって言ったの」

 

一瞬聞き間違いか何かかと思ったのだが、

どうやら幻聴ではなかったらしい。

 

 

「えっ、えーと……冗談」

「冗談じゃないよ、先に言っとくけど」

先に言われてしまった。

「おっ、お前もう酔ってるのか!?

ほら、あんまり飲みすぎない方が……」

「悟は……私が酔ってるだけでこんな事を言うと思うの?」

 

 

目を潤ませながらこちらを見つめてくる里恵。

その表情に、思わず俺はどきりとしていた。

「慰めてよ、悟……」

俺が自分を抑えていられたのは、そこまでが限界だった。

胸の奥から湧き上がる衝動のままに里恵の体を抱きしめ、

何度も何度も唇を重ねる。

 

「んっ……むっ、ちゅっ、んんっ……っはぁ……」

「……悪いけど、加減とか出来そうにないからな」

「いいよ……全部忘れられるくらいに、めちゃくちゃにして……」

言われずともそのつもりだった。

元より思ってた相手にここまで言われて何もしないでいられるほど、

俺は大人しくない。

 

俺はゆっくりと里恵の服に手をかけ、

服のボタンを震える手で一つ一つ外していった。

最後のボタンを外し終えると、

ピンクのブラに覆われた彼女の胸が露になる。

「な、何かはずかしいね……あはは」

「何言ってるんだ、これからするのはもっと恥ずかしい事だろ」

 

 

顔を赤く染める里恵。

それに構わず、俺は彼女のスカートに手をかけた。

下着は上下で色をそろえているのか、

フリルがついた可愛らしいパンツもブラと同じ色をしていた。

「あっ……」

「どうした?」

「うっ、ううん。何でもない……」

 

 

何かを言いかけてた里恵だったが、尋ねると答えを濁した。

まあ気にする事もないだろうと判断し、彼女のブラを外す。

中から現れたモノは、想像したいたよりは少し大きかった。

(意外と大きいな……Dカップはあるんじゃないか?)

見た目からは精々Cカップとしか思えなかったのだが……

 

 

などという馬鹿らしい事を考えながら、俺は彼女の胸に手を伸ばした。

そしてなるべく力が入り過ぎないように、ゆっくりと揉んでみる。

「んっ……あっ……」

「痛くないか、里恵」

「い、痛くはないけど……何か、変な感じ……」

特に問題はなかったようなので、そのまま胸を揉み続ける。

中々に良い感触だった。

 

 

世の男の大半が巨乳好きだというのも、これなら納得できる。

「さっ、悟ぅ……胸ばっかりじゃなくて、他のところも……」

「他のところってどこだ? 

教えてもらわないとわからないなぁ?」

「……悟の意地悪」

いや、この場合少しぐらいの意地悪は許されてしかるべきだろう。

今までに色々迷惑をかけられてるわけだし、

少しぐらい仕返しをしても罰は当たるまい。

 

とはいえあんまり怒らせるのも何なので、

俺は素直に彼女の意に沿う事にした。

胸から手を離し、下のほうへと手をもっていく。

そこはかすかに湿っていた。

「……ひょっとして、気持ちよかったのか?」

 

 

「そっ、そういう事は思っても普通は言わないものだってば!」

どうやら図星だったようだ。

少しばかりニヤニヤしながら、俺は彼女の下着を脱がした。

そこは思っていたほど毛深くはなかった。

ひょっとして剃ってるのだろうか……流石にそれはないか。

 

「あ、あんまり見ないでよ……恥ずかしいじゃない」

「どうしてだ? 綺麗じゃないか」

「……っ! とにかく、恥ずかしいものは恥ずかしいの!」

「はいはい、わかりました」

答えになっていない彼女の言葉に一応返事をし、上着を脱ぎ捨てる。

そして指先でつつくようにして里恵のアソコに触れた。

その瞬間、里恵はビクッと体を震わせる。

 

 

「……ひっ!」

「あっ、痛かったか?」

「だ、大丈夫。続けて……」

何かに耐えようとしているような彼女の表情が気になったものの、

そう言われて止めるのは流石に失礼だろうと判断し、

続けることにした。

 

 

「わかった。でも、止めたくなったらいつでも言ってくれよ」

「あっ……うん、わかった……」

そう言うと、里恵は何故か安心したような顔をしていた。

「じゃ、続けるぞ」

そう前置きしてから、俺は再び彼女のアソコへと手を伸ばした。

そしてなるべく痛くならないように、ゆっくりと指でほぐしていく。

 

 

「はっ、はぁぁっ……さ、悟……」

「……何だ?」

里恵の言葉に、思わず手の動きを止めて聞き返す。

まさかもう前言撤回という事はないだろうが、

一応聞いておいたほうが良いと判断しての事だ。

 

 

「その……ありがとうね。わざわざこんな事、

付き合ってもらって」

「何言ってる。

むしろ、俺の方が感謝しなきゃいけないぐらいだって」

「そ、そうかな……あはは……」

……何か変だ。いつもの里恵らしくない。

 

「あの、さ……お前、何かあったのか?」

「えっ!? な、何かあったって……

だから、理恵子に振られたって……」

「本当に、それだけなのか?」

里恵の目を見つめ、問いかける。

彼女は少しの間押し黙っていたが、やがて口を開いた。

 

「悟……何を聞いても、

私の事嫌いになったりしないって約束してくれる?」

「……ああ、約束する」

「じゃあ、一度しか言わないからよく聞いてね……」

 

昔……って言っても、私が中学生だったときの事なんだけどね。

私、通学中に電車の中で痴漢に遭っちゃったんだ。

その人、ハァハァ言いながら、私の体を触ってきてね。

あの頃は私も臆病だったから、怖くて声も出せなかったんだ。

それで、その人私の……その、アソコまで手を伸ばしてきてね。

怖くて目を閉じようとしたんだけど、

その時その人の手を掴んだ人がいたの。

 

 

「おい、そこのあんた。

この子嫌がってるじゃないか、やめなよ!」

そう言ってくれたのは、あの時の私よりずっと背の高い、

綺麗なお姉さんだったんだ。

そのお姉さん、駅員を呼んで痴漢の人を引き渡してくれたの。

 

 

それから私に笑顔で、

『大丈夫? 怖くなかった?』

って聞いてくれたんだ。あの時は嬉しかったな。

それがきっかけで、私とそのお姉さんは仲良くなったんだ。

といっても、

電車で顔を合わせたときに幾らか話す程度だったけどね。

 

 

それからしばらく経って……

私、彼女と同じ電車に乗り合わせたから、

いつもみたいに話をしてたんだ。

その時、あの人はこう言ったの。

「ねぇ、今日暇だったりする?

もしよかったら、私と一緒に遊ばない?」

 

 

その日うちの親遅くなるって言っていたから、

彼女の誘いを受けちゃったんだ。

それでカラオケやボーリングに行って遊んだ後、

彼女の部屋に来ないかって誘われてね。

同性同士だし特に問題はないと思ってついていったんだけど

……そこで抱かれたの。

 

 

 

あの人、元々可愛い女の子が好きで、

いつもあなたを電車で見かけるたびに抱きたいと思ってた、

何て言うのよ。笑っちゃうよね?

 

 

 

あの人がレズでそういう目的で近づいてきたってのは

ちょっとショックだったけど、

痴漢から救ってくれた恩人であるのは確かだし、

何よりそんなに嫌いじゃなかったから……

しばらくの間そのまま付き合うことになったんだよね。

けど、高校に入って少し経った頃……

別れを切り出されたんだ。

 

 

他に好きな女の子が出来た、って言われたんだ。

本当かどうか、今でもわからないけど。

ショックだったなぁ……

好きだと言ってたじゃない、とか、

私にあんな事をしたくせに、とか

……酷い事も色々言ったっけ。

 

まあ、結局別れたんだけどね。あはは……

その後、彼女の事を忘れたくて……

同級生の女の子に手を出しちゃったんだよね。

あの人が私にしたみたいに、女の子を抱いて……

その子にももう振られちゃったけどね。

それで、付き合って別れてを何回か繰り返してた頃かな……

悟に告白されたのは。

 

 

けど、あの時は男の人が怖かったんだよね。

だから、断ったんだ。

……うん。

痴漢に遭ってから、だよ。そうなったのは。

 

 

 

「……そんな事があったのか。

俺、全く気付かなかった……」

「仕方ないよ。

恥ずかしかったから他の誰にも言った事無かったし。

それに、あの時はお互い顔をあわせる機会も少なかったからね」

 

 

 

同じ学校に通ってたとはいえ、

当時の俺はいつも時間ギリギリまで寝てから家を出ていた。

里恵は十分間に合う時間に家を出ていたため、

帰りはともかく行きの電車で里恵と一緒になる事はなかったし、

同じクラスでもなかったので、

あまり相談する機会も無かったのだろう。

 

 

「……今でも、怖いのか?」

「……うん、少しだけ。

でも、悟なら……私が一番知ってる男の人だから、

大丈夫かなって」

「そうか……でも、無理はしない方が……」

いいんじゃないか、と続けようとした俺の口を、里恵の唇が塞ぐ。

 

 

 

 

「私なら大丈夫。だから……お願い」

「……わかった」

 

俺は側面から里恵の体を抱きしめるようにしながら、

彼女の股間に手を伸ばした。そして、再び指先でそこをかき回す。

 

 

 

「あうっ……あっ、やっ、はぁっ……」

「痛くないか、里恵?」

「うん、平気っ……!」

強がってはいたが、

彼女が色々と我慢しているのは見ずともわかる。

なるべく早く終わらせた方がいいだろう。

 

 

そう考えた俺は、里恵のアソコが十分に濡れるまで待ってから、

指を離した。

「んっ……悟、そろそろ……」

「わかった。ちょっと待ってろよ」

そう前置きしてから、慌しくパンツごとズボンを脱ぎ捨てた。

一応平均程度の大きさはあるはずの、

自分のモノが里恵の視線に晒される。

 

 

「悟の……こんな形してるんだ……」

「まっ、まじまじと見るなよ。ほら、続けるぞ!」

顔が赤くなるのを押さえ、

自分のモノを里恵のアソコへあてがう。

「力……抜いてろよ。いいな」

「うん……」

こくりとうなずく里恵。

 

 

 

俺はそれを確認してから、ゆっくりと腰を押し進めた。

里恵の中はキツく、狭かった。

結合部からは赤い血が流れている。

「くっ……ううっ……」

「里恵……お前、初めてだったのか?」

「いっ、今まで、女の人としか、

した事……なかったから……」

 

 

考えてみれば、あってもおかしくは無い話ではなかった。

今の今までそのことに考えが到らなかったとは……

どうやら俺も緊張していたようだ。

普段ならそういう事はすぐに思いつきそうなものなのに。

 

 

 

「悟……動かない、の? 私のことなら、大丈夫、だよ……」

「んっ……ああ、悪い」

おっと、くだらない事を考えてる場合じゃないな。

今は里恵のことを考えてやらないと。

「出来るだけ早く終わらせるからな」

俺はなるべく彼女に苦痛を与えないように細心の注意を払いつつ、

ゆっくりと腰を動かし始めた。

 

 

 

それでもやはり痛いのか、里恵の顔は苦痛に歪んでいる。

「里恵……俺はさ、お前のこと……今でも好きだ」

「んんっ……さ、悟……?」

「あの時お前に振られた後、

何度もお前のことを忘れようと思った。

でも、出来なかった」

 

 

三年ほどの間に溜め込まれた思いが、俺の口から紡ぎ出される。

今までに伝える事の出来なかった思い。

それを、俺は今この瞬間に伝えようとしていた。

 

 

「俺は今まで、お前にそんなことがあったなんて知らなかった。

できることなら、俺はお前の傍で力になってやりたかった。

それから、可能なら……これからは、お前の傍で力になりたい」

「ああっ、はぁっ……さ、悟ぅ……」

 

 

 

「恋人とかじゃなくてもいい。ただ……

お前が辛い時は、傍にいてやりたい。

お前が悲しんでる時は、何度でも慰めてやりたい。

俺は……お前の事が好きだから」

 

二度目の告白。

彼女は、俺を受け入れてくれるだろうか?

 

 

 

「悟……悟っ!」

「里恵……くっ!」

それ以上耐えるだけの余裕は、

ほとんど経験の無い俺には無かった。

放出の寸前、俺は何とか腰を引いて里恵の中から分身を引き抜いた。

先端から白濁が勢いよく飛び出し、里恵の体を汚す。

 

 

 

「さと、る……」

「はぁ、はぁ、はぁ……」

俺は荒い呼吸を整えながら、里恵の体を抱きしめていた……。

 

 

 

 

 

そして、数日後……。

 

「やっほー、おっかえり〜♪」

「……またか」

 

 

 

バイトから帰った俺を迎えたのは、

やはりというか何というか里恵だった。

 

 

「……合鍵の場所は変えたはずなんだが」

「えへへ〜、悟の考える事なんてお見通しなんだよ〜」

「まったく。しかも、また人の家のビール飲んでるし……」

こいつ、俺の家に酒を飲みに来てるんじゃないだろうな?

「……で、今日は何の用だ?」

「ああ、ちょっとこれ見てくれない?」

 

 

 

そう言って彼女が見せたのは、

携帯の画面に写った女の子の画像だった。

背景から察するに、恐らくうちの大学……

 

って、ちょっと待て。

 

 

 

「お前、まさかこの子と……」

 

「ぴんぽんぴんぽーん!

実はこの度、私里恵とこの桜田舞子ちゃんは

付き合うことになったのです!」

 

「なったのです、じゃねえ!」

ひょっとして、お前まだ男が怖いとか言うんじゃないだろうな?

 

 

 

「ううん、それはもう平気。でも長年の習慣って、

中々すぐには変えられないものだよね?」

 

「…………」

 

もう呆れて何も言えない。

 

 

 

 

「あっ、でも」

 

「……なんだ?」

 

「もし振られたら、いっぱい慰めてね♪ それじゃ!」

 

 

 

 

そう言って部屋から出ていった里恵に、

俺は何も言う事が出来なかった。




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