成人向け催眠小説 「人形」




 催眠術なんて、そんなものはかけられた方が演技しているだけ……私はそう
思っていた。
 でも、そうじゃなかった。
 私はもう動けない。
 コツ……コツ……コツ
 私と彼以外、誰もいない地下室に靴の音が響く。
 椅子に座っている私は、彼が発しているであろうその音を振り返ることがで
きない。
 コツ……コツ……コツ
 周期的なこの音が、さらに私を深いところへと落とす。
 コツ……コツ……コツ
 私は、どこへ行くのだろう。
「あなたは、夢の世界へと落ちていく」
 そう、私は夢の世界へ落ちていく。
「そこは全てが幸せになる世界」
 全てが……幸せ。
「階段を下る足音が聞こえますね。それはあなたの足音です」
 私が、階段を下りている……。
「一歩降りるごとに、あなたは夢の世界へと落ちていきます」
 落ちていく……落ちていく……落ちていく
「僕はそんな世界からあなたを無理やり引き上げます。
 手を叩くと、あなたは目が覚めてしまいます。
 しかしあなたは目覚めたくない。なので、自分で数字を数え始めます。そし
て、十数えるとあなたは再び階段を下りていくことができるようになります」

 3……2……1……パン
 目を開けると、そこには地下室の光景が広がっていた。
「え……?」
 私は、何でこんなところに?
 学校から帰る途中までは覚えているんだけど、そこから先は記憶がない。
 誘拐
 そんな単語が頭をよぎり、私は慌てて立ち上がろうとする。
 でも、目覚めたくなかった。
「1……2……3……」
 数を数える。
 十まで数えると、私は階段を下りることができる。
 階段……なんのことだっけ。
 そんなことより、ここを早く抜け出さないといけないのに……そうでもない?
 階段を下りることのほうが重要?
 どっちだろうか……。
「8……9……」
 そんなこと考えている間にも私は数字を数えている。
 そして――
「十」
 私は、階段を下りていた。
 降りていく……降りていく……落ちる。


「あなたは、人ではありません。人形です」
 私は人形。
「それも、性処理に使うダッチワイフです」
 ダッチワイフって何だろう。
 でも、性処理ならわかる。
「どういうことだかわかりますか?」
――私はSEXして、男の人を満足させる人形?
「そうです。あなたはSEXで男の人を満足させる人形です。
 人形にだって意思はあります。しかし、人形ですから、しゃべることも、ま
してや体を動かすことはできません。
 ただ、僕がすることに為すがままになる」
 為すが……まま。
「そして、性処理専用に作られたあなたは、性行為を楽しめるように、体の感
度が人間の倍以上あります」
 触れている手が気持ちいい。
 思わず、声が出る。
「さらに、手間を省くために僕が『洪水』と言うと、あなたの大事なところは
何もしないでも濡れてくる。
 …………洪水」
 んっ。
 気持ちいい。
 あそこに入れてくれれば、もっと気持ちよくなるのに。
 もう準備はできているのに。
「それでは、挿れますね」
――あっ、え? あああああああああああぁぁぁぁぁ!
 爆発だった。
 彼のソレが入った瞬間、私のからだの中に爆発のような快感が走る。
「まだですよ。僕がいいと言うまで、あなたはイクことができません。
 その代わり、僕がイケと言ったら必ずイッてしまいます」
 ダメッ! イケない。気持ちいいのに……っ!
 奥、当たって、イキそう。
 でもイケない……。
「これから五つ数えます。
 数字がゼロになったら、胸から母乳が出てしまいます。
 5……4……
 出てくる母乳はあなたの理性です。
 3……2……
 理性を出し尽くしたあなたは、この暗示が解けてからも、僕の人形になって
しまいます。性処理用の人形に」
 そんなの嫌だ。
 人形になんてなりたくない。
 夢から覚めるように、感覚が戻る。
 人形の私は、彼を押しのけようと手を伸ばした。
「1……0」
「で、出ちゃう……なにこれええぇぇえぇえぇぇぇ!」
 胸から、まるで男の人の射精みたいに吹き出してきた母乳が私の頭を真っ白
に染めてしまった。
「イケ」
 そして、彼が言う。
「イ、イク! ダメ! 私、人形になるからあ! ヤダあぁあ」
 イクと、母乳の吹き出す量が増える。
 理性が消えていく。
 ダメだ。理性が消えたら、私は人形になる。
「イケ。イケ。イケ。イケ。イケ。イケ。何度でもイケ」
 耐えようとする私を嘲笑うように、彼は私に命令する。
 我慢できるわけがない。
 だって私は、彼の人形だから。
「あ、ああ、ああああああああああああぁぁあああああああぁあああああああ
ぁ!」
 
 






















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