お姉さまと呼ばれたくて04






高校三年生の冬。連日のように実力テストや補講が行われ、私達の生活が受験一色になっていくなか、私は推薦入試という方法で周りより一足早く進路を決めた。学校案内や見学等で前から希望していた調理の専門学校。調理師養成課程を卒業したあと栄養士養成課程にも編入できる、まさに私の為にあるような学校だった。
東京にあるけど電車で通学することができるから、ゆたかと遠距離になることもない。遠距離にさえならなければ、定期的にゆたかの催眠状態を確認できる。そうすれば、勝手に解けてしまう危険もまずない。
私は、幸せだ。ずっと大好きだった人と両思いになれて……でもそれが作られた幸せである事は十分理解している。そして、それはちょっと油断するだけであっさりと崩れてしまう儚いものであることも。
「ふぅ……」
そんなことを考えながら、よく晴れた土曜日の昼下がり。
私以外誰もいない柊家で、私は恋人のゆたかを待っていた。
前回最大の障害であるみなみちゃんを、彼女に恋心を寄せるゆきちゃんとくっつけることで排除し、これで私の邪魔をしそうな人はいなくなった。
お父さんとお母さん、お姉ちゃんズにも外に出てもらって、ゆっくりとゆたかとの愛を育もうというわけだ。
ゆたかは私が第一志望の専門学校に合格したお祝いになんでも言う事をきいてくれると言っていた。
だから少々私の欲望をさらけ出してみたワケだけど、ゆたか……ちゃんと言った通りの服装で来てくれるかなぁ。
ピンポーン
(あ、来たかな?)
ガチャッ
「こ、こんにちは。つかさお姉さま」
扉を開けると制服姿のゆたかがいた。
「いらっしゃい。さ、あがって」
「おじゃまします…」
少し顔を赤くしたゆたかを部屋に招き入れ、私の部屋へと誘う。
「ちゃんと私の言った服装で来たみたいだね」
「お姉さま、あの、これ……恥ずかしいです……」
ゆたかは陵桜のセーラー服を着ている。
普通に見る限り別におかしなところがあるわけではない。
普通に見る限りは……
「それじゃ、スカートを持ち上げて」
「……ぅぅ」
ゆたかは恥ずかしそうにスカートをつまんで持ち上げた。
スカートの下には普通ならあるべき下着はなく、紺色の布地が見えた。
それはスクール水着だった。
今ゆたかはスクール水着を着て、その上から陵桜の制服を着ている。しかも……
「うん、ちゃんと着てるね。そんなに恥ずかしがることないじゃない」
「でも……この水着、お姉さまの……」
そう、ゆたかが着ているスクール水着はゆたかのものではなく、私が小学校のときに使っていた物なのだ。
「……ぁ」
ゆたかは恥ずかしそうに太腿をすり合わせる。
「どうしたの?ゆたか」
「……ぁ……ぅ」
「ほら、正直に言って。ゆたかは私の前では心の中を正直に話してしまう。ね?」
一瞬目を逸らすが、私の前ではゆたかに隠し事はできない。
「お姉さまの水着を着てるんだって…っ…思うと…すごく、エッチな気分になっちゃって…今、お姉さまに見られて……ぁぁ」
ゆたかの股間を覆う部分が、じわぁ、と濡れていく。
「ぁ……ぁ…」
「くすっ、我慢できないんだね。ゆたか」
「は、はい…」
「いいよ、今日はいっぱい愛してあげるから。でもその前に、コレをつけてくれるかな」
そう言って私はこなちゃんから借りたモノを渡す。
「え…っと、頭につければいいんですか?」
「うん♪」
ゆたかがつけたのは猫耳カチューシャ。
ゆたかは動物にたとえるとリスだって誰かが言ってたけど、萌えを追求するならなんといっても猫耳だよね!
「さぁ、ゆたか、私の目を見て……」
「ふぇ……」
猫耳少女となったゆたかに私はゆっくりと暗示をかける。
「ゆたか。ゆたかはこれから、お話しするときは語尾に『にゃ』をつけるの。ゆたかは意識しなくても、無意識に語尾に『にゃ』をつけちゃうよ」
「は……はい……です、にゃ」
「ん、よろしい。それじゃあもう一回スカートを持ち上げて」
ゆたかは再びスカートを持ち上げて、さっきよりも愛液のシミが広がったスク水を披露する。
「にゃぁ……」
ゆたかは恥ずかしそうに目を逸らすが、とても嬉しそうだ。
「それじゃゆたか、こっちに来て」
私はゆたかを私の勉強机のそばへと誘う。
そして机の角が股間に当たる位置にゆたかを立たせた。
「あっ」
先に丸みのある机の角がゆたかの股間を押し開く。
「は……あ……んっ……あ……」
「おっと」
ゆたかは快感から逃げるように机から身体を離そうとするが、私はすばやく回りこんでゆたかの耳元で囁いた。
「ゆたか、あなたはオナニーがしたくなるよ」
「ぅ……」
「ほら、オナニーがしたくてたまらなくなる。アソコがむずむずしてくる。ゆたかは発情している猫みたいにエッチなことしか考えられない」
ゆたかの頬が赤く染まり、愛らしい唇からは熱い吐息が漏れ出す。
「ゆたか、コレは私の机だよ」
「お姉さまの……机……」
ゆたかは愛おしそうに机の上を両手で触れた。
「そう、私の机だよ」
「にゃぁ……お姉さまの……」
ゆたかは両手で机に触れたままゆっくりと机の角に股間を近づけ、割れ目に沿って擦りつけはじめた。
「はぁ……はぁ……」
「そうそう、ゆたかは猫なんだから、自分の場所にはマーキングしないとね」
「はい……マーキング……ぁぁ……」
「そうやって自分の匂いをつけて、自分のものです、って主張しないとね。どう?私の机にあそこを擦られる気分は」
「ぁん、き、気持ちいい…です…にゃ…んあっ」
たちまち秘所に愛液が沸いてスク水のシミを広げていく。
ゆたかは徐々に秘所からあふれる快感に囚われ、自然に腰を前後しはじめる。
「あ、あっ…はぅ…んあっ…」
「ふふっ…ゆたか、もっと気持ちよくしてあげる」
言いながら私はセーラー服の上からゆたかの胸元をやわやわと揉みはじめる。
「ふぁっ!お姉さま……んにゃ、っ…それ…気持ちいいですにゃ……」
「かわいいよ、ゆたか……」
腰の動きがますます早くなり、机の角に秘所をより強く押し当てるように動く。
「ん…にゃぁっ…あ、にゃ…ああっ」
「そろそろイきそう?いいよ。イって、ゆたか」
「っ、あ!ああっ…あ…にゃ、あ……にゃあああぁぁっ!」
ゆたかはビクッと大きく震え頭を反らした。
「…ぁ……にゃぁぁ…」
「くすっ、イっちゃったんだ♪……よっと」
腰が抜けたゆたかをお姫様抱っこでベットへと運ぶ。
「でも……これからだよ」
そう言ってゆたかの唇を奪う。
舌を絡ませるキスをしながら股間のスク水をずらし、ゆたかの秘所に指を入れる。
「うにゃっ!…お姉…さ…にゃあっ!」
軽く指を動かしただけでゆたかの身体が震える。
「ずいぶんエッチな身体になっちゃったね。ゆたかのおにゃんこ、とろとろになってる」
「はぁ……はぁ……」
「もうギブアップ?違うよね。まだまだ物足りないよね」
息も絶え絶えなゆたかを視界にいれながら、軽く指を曲げてGスポットを刺激する。
「っ!にゃああああぁぁぁ!」
ぷしゅっ!
ゆたかの秘所から半透明の液体が迸った。
「ぁ…にゃぁぁぁ…」
ゆたかの体調を気にするなら、この辺りで休憩させるべきだった。だが私はお構いなしにゆたかの身体を好きにした。
「ほら、もっと気持ちよくなってよ。私のこと以外なにも考えられなくなるくらい。私なしじゃ生きられないくらい!」
「お…おねえしゃま………」
ゆたかの瞳からは理性の光は消え失せ、かわりに私の姿だけを映し出している。
「…………ゆたか…」





あの後、ゆたかは何度もイった。
あるときは私の指で。
あるときは一緒に。
今、私とゆたかは行為に疲れ果て、お互い裸でベットに横になっている。
「すぅ……すぅ……」
ゆたかは私の腕の中で安らかな寝息をたてている。
夢にまで望んだシチュのはずなのに、なぜか私の心は落ち込んでいた。
なぜか?
違う。
理由ははっきりとわかっている。
ゆきちゃんのせいだ。
『それが理不尽に植えつけられた感情だとしてもですか!』
あのとき、ゆきちゃんに言われた言葉が、今更になって私の心を苛む。
『間違ってます!』
「うるさいな…」
思わずつぶやいてしまう。
そんなこと、私が一番よくわかっている。
でも、もう後戻りなんてできない。
ゆたかだけじゃなく、お姉ちゃんやみなみちゃんまで巻き込んでしまった。
ゆたかへの恋を邪魔しようとする人に催眠術をかけたときは、他人を支配する快感に囚われ、調子に乗って心の中の黒い部分を暴走させてしまった。
そして作られたゆたかとの、不自然で偽りに満ちた恋人関係。
他人に指摘されなくたって、間違っていることくらいわかっている。
「ん……お姉さま……?」
「あ……ゆたか、起きちゃった?いいよ寝てても。私は、」
「お姉さま、どうして泣いているんですか?」
(……え?)
目に手をやると、たしかに涙で濡れていた。
「あ…あはは……なんでだろうね。幸せすぎるのかな。うん。ゆたかが一番近くにいてくれるのが幸せすぎて…あはは……」
半分は本当だ。
でも、私は不安なのだ。
何かの拍子でゆたかにかけた催眠術がとけてしまったら、ゆたかは二度と私のところには戻ってきてくれないだろう。
だからこそ、まるで厚く重ね塗りした塗料の上にさらにペンキを塗って悪い部分を隠すように、解けないように、解けないように、ゆたかの想いが偽りである事を気付かれないように、幾重にも幾重にも厳重に鍵をかける。私達の歩む道に、分かれ道が訪れないように。
「大丈夫ですよ、お姉さま」
「ゆたか?」
ゆたかは私の目をまっすぐに見つめて宣言する。
「私はどこへも行きません。ずっと、お姉さまのそばにいます。おねえさまのこと、愛してますから」
「ゆたか……」
そうだ。
たとえどれだけ捻じ曲がった関係だろうと、偽りに満ちていようと、私がゆたかを思う気持ちだけは本物なのだ。
彼女を一生かけて守っていくことだけが、私にできる唯一の罪滅ぼしなのだ。
「ゆたか」
最愛の人を見つめ、全ての思いをこめて力ある言葉を囁く。
「私、頑張るから。学校を出て、一人前の調理師になって、一生ゆたかのこと守るから、だから、」

「結婚しよう」

「はい」
ゆたかは迷うことなく私のプロポーズを受け入れる。
私は思わずゆたかを抱きしめた。彼女の心臓の鼓動が、体温が、息遣いが、ゆたかの存在が愛おしくてたまらなかった。
トクン、トクンという規則的な鼓動がまるでゆたかが私に催眠術をかけているようにも感じられ、だったらいいなと思いながらゆっくりと眠りにおちた。
意識がブラックアウトする寸前、ゆたかがなにかを言った気がしたが、私の耳には届かなかった。
「いつまでも…一緒ですよ……………つかさ先輩」









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