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//      『催眠考察』                                    //

//                      作:R-amberと愉快な仲間達       //

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//      この作品に出てくる知識、技術、情報は、          //

//      作者の妄想によるものが多く含まれており、        //

//      実際の催眠に関する技術とは直接的な関係は        //

//      これっぽっちもございません。悪しからず。        //

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 知識という土台は何事にも変えがたい重要な前提だ。これが無い相手に催眠を施すのは、少々難しい。知識が無い相手なら、それこそ操りやすいのではないかと思うかもしれないが、それは間違いだ。トランス状態に持ち込むことは容易いかもしれないが、それ以降は在る知識との組み合わせの問題だ。

 例えば、右と左の定義を逆に覚えさせて育った子供が居るとしよう。お箸を持つ手が左で、お茶碗を持つ手が右だ(勿論、右利きが前提で)。この子供を普通の子供達の中に放り込むと、たちまち自分の感覚を狂わせる事になるだろう。右へ進めと言われて左へ進む。他人と自分の行動の違いを見て、錯覚し、狂う。こんな子供に対して「右手が動かない」という催眠をかけても、実際に動かなくなるのは左手だ。

 それほどまでに、相手の土台となる知識は催眠に於いて重要となる。

 尤も、ど素人の語彙数の低さが仇となる例ではあるが……

 実際問題、その様な事象に対しては催眠と言うものは案外万能なもので、指示する時は「右手」とか「前」などと具体的なものを言わずに、「それ」や「此方」など代名詞を用いる誤魔化しをする事で補う事が出来る。万人向けという意味を以ってするのならば、この方法が確実だろう。感じ取る人間の数だけ答えが存在するのだ。

 しかしこの方法、出来るにはできるが、初心者にはオススメできない。相手の反応を小まめに観察しながら「どの程度」かを把握できるぐらいの観察力を必要とする。難しいものだ…………

 

 

 

 例えばこうして視線を動かす。

 右から左へ。放物線を描くように、続いて回転させていく。随分と古典的な技術ではあるが、それゆえ効果は絶大だ。ようは相手の五感……特に視覚を殺すための儀式。

 言ってしまえばこの時点で成功なのだ。

 後は相手次第。

 

 簡単に言えば、こうして素直に催眠術に従ってくれるというだけで、それはもう殆ど成功したに等しいという事だ。相手の被暗示性が高ければ、後は如何とでも成る。

 こうして「実験」と証したものに付き合ってくれている時点で、本人には「催眠に掛かりたい」という意識があるわけだ。或いは「決して催眠には掛かるものか」という自信の表れ。どちらにせよ、それは催眠と言う行為を認めている証拠。

 だから、こうして眼の前で自分の言いなりで、只「描かれた線を視線でたどっている」女の子も、「催眠とは如何いうものか」身を以って体感してみたいと願っているはずだ。被暗示性は高いと言える。

 

―――そう、だんだん眼が疲れてきただろう?

(疲れてない…………!疲れてきてなんか…………)

 

 それと、一番重要なのはマンネリズム。相手に飽きられたら、相手の意識は催眠とは別の領域に離れてしまう。意識が此方に傾いている今のうちに、全てを仕込む。

 

―――ほら、だんだん瞼が重くなってきた。

(まだ…………まだ重くはないよ…………)

 

 だが、焦ってはいけない。計画のためには然るべき手順を踏んだ上で、しっかりと基礎から組み込んでいく。どんなに凄い知識も技術も、目的のための礎にしか成り得ないの。使えるものは全て使う。

 

―――重いだろう?だんだん、閉じていくんだよ。

(…………閉じない。閉じるもんか)

―――ほら、閉じた。もう、何も見えない。

(……………………開いてやる。開いてやるもん)

 

 どんなに反抗的な意識を持っていたとしても、本心は催眠という領域に身を委ねる事が意識から離れていない。寧ろ、反抗的な意識を持っているという事は、それだけ意識が此方へと向いている証拠なのだ。

 だが、それは意識が向いている証拠であって暗示が効いている証拠ではない。重要なのは、暗示に浸らせる事。

 

―――そう、抗う事は無い。

(…………何故?)

―――何故なら、それはとても心地よい事だから。

(…………本当に?)

 

 そう、それは駄々をこねる子供を諭すように。

 

―――気持ちよいだろう?

(………………)

―――さあ、ゆっくりと身を委ねてごらん。

(………………)

 

 それは時間と共に思考を凍らせる。難しい事を考えられなくなるのだ。知識を掘り起こす事はできても、それを操る知恵を失っているに等しい。

 故に、与えられるものを只享受するしかなくなる。

 

―――さあ、だんだん気持ち良くなってきた。

―――もう何も考えなくても良くなってきた。

 

 そうして、女の子が切り替わるまでに、それ程時間は掛からなかった。

 こうしたトランスの状態は、手馴れていても扱いにくい状態だ。特に、今回のような基礎から人の心を組み立てていく場合は。

 その為に、これまで何人もの人間で実験してきた。狂わないように、自分自身の制御と言うサジ加減を掲げながら。

 

 変えようと思えば、人としての定義すらその本人の中で変えることが出来る。人ではなく動物にしたいのならできない事もないし、性別を変える事もできるだろう。そして、この女の子にはそれ相応の知識という土台が込められている。見た目は相当小さいが、脳味噌は一級品だという事だ。

 俗に言う、理想の素材という事。

 それだけ、今からこの女の子に掛ける催眠が複雑であるという事だ。

 手順も、やるべき事も、全て刻み込まなければいけない。

 

 三度のトランスを経て、漸く全ての言葉を刻み込む。本来子供に理解させるのは難しい内容であるというのに。しかし、この女の子でなければ出来ない事を、全部纏めて理解させなければいけない。

 この子は優秀だ。

 天才と言っても過言ではない。

 知識と知恵の幅が常識外れに広く、しかし肉体も精神もそれに追いついていっていない。

 正直なところ、そんな彼女を自在に操る事が出来た時点で、私自身満足していたりする。本音を言えば、この過程が一番の楽しみであって、結果なんてオマケ程度のものでしかない。

 …………

 だが、目的は目的だ。計画を妥協する事も、此処で自分を狂わせる事も本意ではない。

 

 

 そして、私はゆっくりと彼女を抱き締めた。

 これがせめてもの愛情表現とでも言おうか。これ以上も無い愛しい存在を、自分自身の手で作り上げたのだから。

 そしてそのまま彼女をベッドに横たえ、丁寧に服を脱がせる。

 子供特有の甘い香りが周囲を漂う。仮想でも催眠でもない、現実に自分の嗅覚を狂わしている。私はとり付かれる様に彼女の身体に貪りついた。

 唇を奪い、舌を絡めつかせる。口の中から生暖かい呼吸が流れてくる。私はそれを押し返すように舌で口の中を蹂躙する。

――……甘い。

 私の声が聞こえているのかいないのか、彼女は頬を染める。もう、真っ赤だ。

 呼吸する中にも彼女の声は混じらない。

 そして抵抗しないのをいいことに、舌で乳首を転がす。

 ゆっくり、ゆっくり……それはまるで性経験の無い男が拙い技術で女性を悦ばそうかとするように。

 喘ぎ声は聞こえない。言葉を発せないようにしたのは私だ。どれだけ愛撫を続けても、彼女は言葉を発することは無かった。

「ーっ!!」

 しかし、身体は正直だ。秘所からトロリと粘液があふれ出し、次第に彼女の瞳も焦点を失ってきつつある。

 狂ってきている。私も、彼女も。

 粘液があふれ出していると言っても、その量は僅かでしかない。とても挿入の感触を和らげるための潤滑材としては不十分なものだった。

 しかし、少女が悲鳴をあげない事を知っていたから。

 少しでも自分に対する罪悪感を薄めたかったから、彼女の声を封じた。だから、どれだけ身体が苦痛に塗れても、悲鳴をあげる事はない。

 それを知っていたから。

 だから、私は躊躇いも無く彼女を貫いた。

「!!!」

 彼女の眼がこれでもかと言わんばかりに飛び出る。子供にしておくのは勿体無いぐらいの狂気染みた瞳。その瞳に惹きつけられるように、私は一心不乱に腰を動かした。

「っ!……っ!……っ!……」

 声は出ない。出したくても出せないだけの戒めが施されている。だから、私も声を殺して我慢する。

 そして、暫く続けた後に、ピタリと腰の動きを止める。彼女は今にも気が飛びそうな表情をしていたが、ここで飛んでもらっては計画が台無しだ。

 一呼吸。

 もう一呼吸。

 彼女の方も自分で犯されるペースを把握したのか、呼吸もだんだん落ち着いてきた。その瞳に焦点が戻ってきつつある状態。

 そして、それが私の視線と重なった瞬間、彼女の表情は一変した。

 まるで親の敵でも睨みつけるような表情で、私に対する敵意をむき出しにした。だが、言葉は発する事はできない……だから、彼女は全身動かせる部分を全て使って、私に対する敵意を表現した。

 即ち。

 その両手が、私の首へと。

 子供の腕力とは思えない力でグイグイと首を絞め付けられる。

 私はその力に抗う事も出来ず、しかしその痛みを快楽へと変える為、下半身を思いっきり少女に打ち付ける。

 お互いが自分の力によって束縛され、そして意味の無い性行為へと発展していき……それが彼女の身体の中に精を放つのと、私の首の骨が折れるのと同時に終わりを告げることになった。

 

 私の話は以上だ。

 その後に続く命も無いのでな。

 

 

 

 少女はゆっくりと起き上がった。

 その際に、男だったモノから吐き出された精液が股をそって零れて来たが、彼女は全く気にしなかった。べっとりと乾ききった破瓜の血液も、彼女にとっては大して意味を持たなかった。

 そして、全身が汗やらなにやらで濡れているのにもかかわらず、近くに置いてあった自分の服を着た。そのまま歩き、ベッドの脇にある仕掛けを作動させた。

 ガコンという音がして男だったモノが転げ落ちる。その下には台車が置かれていた。

 少女は男だったモノを乗せた台車を引いて、家を出た。其処は山奥だった。少なくとも周辺数キロには誰も居ないような山奥だった。周囲には木々が生い茂り、暗く、視界はあまり良くない。

 それでも彼女は記憶の中に焼き付けられた通りのルートで、然るべき道を進んでいく。その歩みに迷いはない。

 暫く歩くと、深い、底が見えないほど深い穴があった。少女はそこで台車を止めると、乗せていた男だったモノをその穴の中に捨てた。

 少しの時間が過ぎ、ドサリと言う音が聞こえた次の瞬間、その穴の中に次々と土が流れ込んでいった。少女はそれを焦点の定まらない瞳で眺め続けていた。

 全ての作業が終わったあと、彼女は周囲を見渡した。

 穴が在った場所のすぐ傍に、一輪の白い花が在るのを見つけ、彼女は歩み寄る。白い、白い、彼岸花が、一つの謝罪の言葉と共に、其処に残されていた。

 

 少女はそれらを胸に抱えると、最後に焼き付けられた記憶を頼りに、ふもとへの道を辿って行った。

 

 

 

―――昨夜二時頃、脱獄犯に依って誘拐されたAちゃん(12)が、○○県の○○山のふもと付近で、無事保護された事が確認されました。Aちゃんには暴行の痕跡が見られましたが、本人にそれをされた記憶は無いらしく、警察は犯人が何らかの方法に依って記憶操作を行ったものと見ています。その後、Aちゃんに対し精神鑑定などの処置を行っていますが、現在のところ詳しい結果は判明しておりません。

また、犯人の行方は未だ知れず、現在も捜索は続けられています。

 

 

 

                ―――――キリトリ―――――

 

「スノーフレークを貴女に。彼岸花の一種。白いっつっても本当に白いのは花弁だけ。そしてこの花の花言葉は純潔。」

「あたしから純潔を奪っておいて言える台詞なのかな……?」

「気にしない」

「つまり……一人で死ぬのが怖いから、セックスしながら殺して欲しかった……と?」

「ウン(。_。 )」

「…………最低なぐらい我侭な人ですねぇ……」

「…………ウン(。_。 )」




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