「桜色」

 

「お兄ちゃんはさ、彼女とかいないの?」

 

光一の部屋で大人しく漫画を読んでいた桜子が突然口を開いたのは、読んでいた漫画が典型的なラブコメ物だったからかもしれない。

 

「は・・・?ええ・・と?」

「いるの?いないの?」

 

桜子の表情は、特に知りたい訳でもないが何となく尋ねてみた…そんな感じだ。

 

「今は・・・いないよ」

 

数ヶ月前までは一年付き合っていた相手がいた光一だったが、何の発展もないまま別れた。結局初Hも済ませることが出来なかった。光一は、別れた当初は飯も喉に通らなかったほどだ。だがその悲しみも既に薄れ、いい思い出となっている。

 

「ふうん、そう」

 

さして興味もないと言った感じで桜子は再び漫画に目を落とす。その時は、そこで終わった会話だった・・・だが思えばこれが桜子が光一を堕とそうと決めた瞬間だったのかもしれない。

 

 

桜子は光一の隣の家に住んでいる。幼い頃に父を亡くした桜子は、かなり年が離れているにも関わらず昔から光一の事を兄と呼び慕ってきた。母親も父が死んで以来家にいる事が少なくなり、桜子は殆ど光一の家で育ってきた。光一の両親も自分達の娘のように可愛がり、本当の家族のようだった。桜子の生活は学校に行き、光一の家で食事をし、寝る時にだけ自分の家に帰ると言った感じだ。休日は今日のようにずっと光一の部屋で自由気ままに過ごしている。

 

「お兄ちゃん、今日も多分お母さん帰ってこないから・・・泊まっていってもいい?明日も学校休み出し・・・」

「いいけど・・・今日は親父とお袋いないからちゃんとしたご飯でないぜ?」

 

両親は海外旅行に行っていて数日は帰ってこない。その間の食事は外食が多くなる。光一はそのことを心配して桜子に言った。

 

「うん。私が作ってあげるから大丈夫」

 

桜子は笑顔で答えた。

 

「それなら構わないけど」

「じゃ、さ・・・夕食の材料買いに行こうか?お金あるでしょ?商店街でいいよね?あそこなら近いし・・・お兄ちゃん何食べたい?」

「ええと・・・ハンバーグ」

「くすくす・・・お兄ちゃん子供みたい!」

「だって好きなんだからしょうがないだろ?」

「別にいいけどね・・・じゃあお肉屋さんから行こうか」

 

 

合い挽き肉と野菜を数点購入した帰り道、桜子がコンビニを指して言った。

 

「私アイス食べたい!」

「いらっしゃいませー」

 

時折とても大人びて見える桜子だが、こう言うところはまだまだ子供だな・・・光一はそう思いながらコンビニに入る。店員の気の無い声が二人を迎え入れた。桜子はアイスボックスの前で立ち止まらなかった。

 

「医薬部外品・・・へぇ・・・こんなのも売ってるんだ」

「何見てるの?」

 

光一が後ろから覗き込むと桜子は手に持っていた箱を光一の目の前にげながら尋ねた。

 

「お兄ちゃん、これ何に使うの・・・?」

「ん・・・?・・・!」

「『こんどーむ』だって。風船みたいな絵が書いてあるけど・・・お薬のところにあるから玩具じゃないよね?」

「いや、そ、それはね・・・その・・・」

「知らないの?」

「そ、そうじゃないんだけど・・・」

「じゃあ、な〜に?えへへ・・・」

「大人になってから使うんだよ・・・」

 

光一は何とかお茶を濁そうとする。だが桜子はさらに尋ねてきた。

 

「ふうん?大人が使うんだ。じゃあお兄ちゃんは使ったことある?」

「いや・・・」

「あるの?ないの?」

「無い・・・けど」

「ふぅん、じゃあまだ童貞なんだ」

「え!?」

「ほら、アイス買って帰ろ!」

 

驚いて桜この方を見る。すると桜子はコンドームを元あった棚に戻し、アイスボックスへと駆けていく。

 

(聞き間違い・・・?そうだよな・・・まさか・・・)

「私はこのミルクのにする。お兄ちゃんは何にする?」

「いや、俺は別にいいよ。夕食もすぐだし・・・」

「そう、じゃあお会計済まして帰ろ?」

 

会計を済ませコンビニから出ると桜子はアイスの袋をあけ、ペロペロと舐め始めた。

 

「歩いてたら落としちゃいそう・・・少しそこの公園寄っていい?」

「うん、いいよ・・・(駄目だ・・・さっきの聞き間違いのせいで頭がボーっとして・・・

最近オナニーもしてないし・・・溜まってるからかな・・・ん・・・?)

 

桜子は何も言わずアイスを食べながらジッと光一を見つめる。

 

「んっ・・・ちゅぷっ・・・ぷぷっ・・・ん・・・ちゅぱぁっ・・・」

 

桜子の舌がチロチロと細かく動き、アイスを舐めしゃぶる。まるでアイスではない何か別のモノを舐めているかのように・・・

 

「んあ・・・じゅぷぷっ!じゅるじゅるっ!!」

 

顔を激しく上下させアイスを喉の奥まで飲み込んでは吐き出す・・・その様子は淫靡としか言いようが無かった。光一は目を離すことが出来ずに魅入ってしまう。股間が熱くなってくる。

 

「桜子ちゃん、も、もうちょっと静かに食べなよ・・・(あぁ、やっぱりどうかしてる・・・アイス食べてるだけなのに変な妄想するなんて・・・くそっ・・・やめさせないと)」

 

光一は己のモノが固くなってくるのを自覚し、思わず桜子の手を取って制止する。

 

「ひゃあんっ!あっ!もう・・・」

 

光一が急に止めた為、桜子の顔がミルクバーにぶつかり中の練乳が飛び出て頬を汚した。

 

「お兄ちゃんがミルク出しちゃうから・・・私のお顔ベトベトだよ?」

(うわ・・・ぁ・・・)

 

桜子が微笑む。その微笑は何ともいえない卑猥さを帯びていて、女性に免疫の無い光一は目を逸らす事しか出来なかった。

 

「お兄ちゃん、拭いて・・・」

 

桜子は光一にティッシュを手渡す。

 

「え・・・」

「自分じゃ見えないから・・・ね・・・?拭いて」

「あ・・・う、うん」

 

桜子に言われるまま光一は桜子の頬についたアイスを拭き取っていく。自分で拭けないはずはない。だが光一は全く逆らえなかった。桜子の頬はプニプニと弾力があり光一の指を押し返した。

 

「・・・綺麗になったよ」

「はい、ありがと。あれ?指にアイスついてるよ・・・今度は桜子が拭いてあげる」

 

突然桜子が光一の手を取ると、人差し指をその小さな口に咥えこんでしまった。

 

「ん・・・ちゅ・・・ちゅぽ・・・」

 

先程アイスを舐めていた時のように舌を動かしながら、光一の目を見つめながら桜子は光一の指をしゃぶる。

 

(あ・・・ぁぁ・・・)

 

指先に桜子の柔らかくぬめった、仄かに温かい舌の感触が塗りつけられていく。光一は止める事も出来ず、呻き声のような声を漏らす事しか出来なかった。性感帯でもない指先が痺れるように気持ちよかった。

 

「ちゅぽっ・・・うふ・・・お兄ちゃんのミルク・・・全部舐めちゃった」

 

指先と桜子の唇との間に唾液が透明な糸を引いている。桜子が手を離してもまだ光一は手を引っ込めることが出来なかった。

 

「さ、帰ってご飯にしなきゃね?」

 

桜子が元気よく立ち上がった為、光一は正気に戻る。だが、立つ事は出来ない。立ったらばれてしまうからだ。股間でいきり勃っている光一自身が・・・

 

「どうしたの?はやく帰らないと日が暮れちゃうよ・・・何か立てない理由でもあるのかな〜?あははっ・・・」

 

桜子は笑いながら一人歩いていく。光一はすぐにその後を追う事は出来なかった。先程の行為に見えた確信的な意思も、桜子の年齢と女性経験の無さが光一に言い訳めいた理由を与え、良くある子供の『スキンシップ』だと思い込ませていた。

・・・この時強く桜子を否定できれば、あるいは後戻りが出来たのかもしれない・・・




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