成人向催眠小説 診察




部屋の中から声がかかり、男はドアを開けた。
「失礼します」
「はい、どうぞ。そこの椅子に腰をかけてください。今日はどうされましたか?」

「部活の練習中に右足を痛めたみたいで……」
「そうですか。じゃあこの台に右足を乗せてください。どうですか? 触ると
痛いですか?」
「はい……、少し痛みます」
「うん、骨は問題ないみたい。捻挫ね。じゃあ湿布を出しておきますね」
「はい、ありがとうございました」
そう言って、男は診察室を出ようと後ろを振り返ったその瞬間、後ろから口を
布のハンカチで押さえられ、たちまち男は意識を失った。

「うっ、んんっ?」
「起きたみたいね」
「な、なんだよこれ!?」
「ちょっと、手足を縛らせてもらったわよ。あと、ズボンとパンツも脱がせた
わ」
「なっ……!?」
「あら、どうしてそんなところに大きなソーセージがあるの? さっきまでは
なかったのに」
「や、やめろっ!」
「えっ、どうしたの?」
「い、弄ってんじゃねぇよ!」
ゆっくりと、手中にあるペニスを愛撫している女。
「だって、男の子のこんなところに、ソーセージが付いているんだもの……触
りたくなるのが普通じゃないかしら?」
「じゃない!!」
「あら、そう……」
サササッ……
「くあはっ!?」
「きもちいい?」
「や、やめろって!」
女は、亀頭の先を書道用の筆で刺激し始めた。
「敏感なところを筆でなぞられた気分は?」
「クッ、最悪だ……、うはっ!?」
「そう……、じゃあもう少し、あなたがいい気分になれるまで、続けてみよう
かしら」
女の手が俊敏な動きに変わった。
ササササササササッ……
「くうっ……、やめろぉ!!」
「あら、そんなに怒らないでよね。純粋に、あなたの脱力しきって気持ちよさ
そうな顔が、見たいだけなんだから」
動く手を女は止めた。
「目的は何なんだよ」
「人間の一番幸せな表情って、なんだと思う?」
「……」
「私はイッた時だと思うの。自分でオナニーしてイッた時、この今の自分の表
情はどうなっているんだろうと思ったの。それで今度は鏡を持ってきてイッた
表情を見たわ。すごく気持ちがよさそうな、だらしない顔が鏡に写っていたわ。
それ以来、オナニーをしてイク時の顔を見るようになったの。幸せそうなその
顔が好きになったの。でも……、いつしか自分のその表情に満足出来なくなっ
てしまったの」
「だから、他人のイッた時の顔を見たいと?」
「そう」
「勝手だな」
「ええ……、そうね。けど、それでもいいわ! どう思われようと私はその顔
を見ないと満足することが出来ない。だからその為ならどんなことでもするわ!」

女は、白衣のポケットからキャップの付いた注射器を取り出した。
「けど、身勝手なことをしているというのも理解しているわ。だから、私の供
物になって貰う人には、さっきの筆で刺激されるような普通じゃ体験できない
ようなことをしてあげているの」
「な、何をっ?」
「ちょっとチクッとするわよ?」
チクッ……
女は、男の腕に注射器の針を刺した。
「なっ、何だよ、それ!?」
「すぐだからね?」
一分後、男の頭が前後左右に振れ出した。
「なん……は……こへ? おへの……かはだじゃ……なひみはいだ……」
「知らない世界にいるみたいでしょ? 鬱病の人向けに、うちの大学病院で開
発している新薬なの。でもね……、効果は期待していたものとは違ったの。な
んというか……、気持ちよくなりすぎて、オナニーをしてしまうのよ」
「だれは……そんなこほ……するほんか……」
「だらしない顔ね。ええ、最初はみんなそう言うけど、徐々に理性よりも性欲
の方が強くなって、最終的には……、みんな、オナニーを始めてしまうの」
女は立ち上がると、椅子の男の手足を縛っている紐を外した。
「さあ、そろそろじゃないかしら? 逃げないでオナニーすると思うから外し
てあげたのよ。あら? どこへ行くの? パンツなんか履き出して、オナニー
する時の邪魔になるわよ? ふふ……、すごいわね、ホントはオナニーしたく
てたまらない筈なのに、君」
服を着ると、男は診察室の扉まで歩いて行った。しかし、ドアノブに手をかけ
ようとしたその時、男はしゃがみ込んでしまった。
「あら、ドアの前にへたり込んじゃって。そうよね……、どうやら限界みたい
ね」
「はっ、はあっ、はっ……」
男はズボンのベルトを緩め、脱ぎ捨て、次にパンツも脱ぐと、一心不乱に自分
のペニスの皮を伸縮させた。
それから男が診察室の扉に精子をかけるまでの時間は五秒だった。
ドピュッピュッ……
「んはっ!うふっ……んふ、んふ……」
「そう、それよ! いい表情ね。だから、やめられない。こんな最高に幸せそ
うな顔を見れるんだもの!」
「まは……しはりない……」
「そうよ……、最低でもみんな、3回は射精しないと満足出来ないみたいよ」
「だめは……がはん……できはいっ!! んふ、んふ、んふ……」
「ペニスがギンギンね。ふふふ……、羞恥心も忘れてオナニーしてる……」
男は、4回射精した後、仰向けに床に寝転ぶと、射精の余韻を楽しみながらす
ぅーすぅーと寝息を立てて眠ってしまった。

「おーい、君。起きて」
「ううっ……、んんっ?」
「ほら、オナニーして気持ちよくなって寝ちゃったんだよ、君」
「あっ!! がっ!?」
「診察ベッドまで運ぶの大変だったんだからね。まったく、君はオチンチン丸
出しで、気持ちよさそうに寝てたけど」
「くそっ! 縄をほどけ!」
男は手足を診察ベッドの脚に紐で固定されていて、身動きが取れなかった。
「それは無理だわ、だって、仕上げがまだ残っているんだもの……」
「し、仕上げ?」
「そう。……なんでだと思う? 私がこんな事件になるようなことをしている
のに、まだ医者として仕事できているのか……、それはね、みんなこのことを
忘れているからなの」
「そ、そんなっ……、こんなことされて、忘れる訳ないだろ!」
「ふふ……、そうなのよ普通だったらトラウマにでもなりそうなことなんだけ
どね。でも、みんな忘れちゃうの。そう、君も例外なくね」
「ど、どうやって……?」
「催眠療法って知ってる?」
「催眠療法?」
「まあ、催眠術を使って心の治療をするのよ。それをうちの病院で行っている
の。ちょっとしたコネで、その催眠療法の先生に催眠術を教えてもらったの」

「まさか……、催眠術で?」
「そうなの。じゃあ少し眠くなる薬を注射するわね? その方が、かけやすい
から」
「やめろぉ! 絶対、忘れないぞ!」
「みんな、同じこと言ってたわ」
チクッ……
注射器が腕に刺さり、薬が流れ込むと、男の瞼が閉じるか閉じないか、ぐらい
まで下がった。
「はい、いいみたいね。いくわよ」
女は、男の眼にペンライトの光を当てて、呪文のように呟き出した。
「はい……、光を目で追ってください。いいです……、その調子です。じゃあ、
スピードを速くしますね。追ってください……、そうです……、いいですね…
………」
男に、五分間同じ行動を取らせてから、女は言葉を変えて、また男に囁き出し
た。
「さあ、今あなたは、深い催眠状態になっています。今から私が言うことを、
あまり考えずに素直に聞いて、従ってください。いいですね? では、目をつ
むって。あなたの目の前には、茶色い木のタンスがあります。引き出しが沢山
ありますね。これは、あなたの体験の、記憶の数だけあります。では、その記
憶のタンスの一番上の引き出しを開けてみましょう。きっとその中には、紙が
一枚、二つ折りにして入っていると思います。そしてその紙にはさっきの恥ず
かしい体験のことが書いてあると思います。どうですか?」
「はい……、書いてあります……」
男は目をつむりながら、恥ずかしそうに首を横にした。
「その恥ずかしい記憶を忘れたいと思いませんか?」
「お……、思い……ます……」
「じゃあ、横を見てください。そこに焚き火がありますね。パチパチと音を立
てて木が燃えています。そこにその紙を投げ込めば、その記憶は燃えてなくな
ります。投げ込んでください」
「はい……」
「紙が一瞬で燃えて灰になりましたね。大丈夫です、これで忘れることが出来
ました。思い出せますか?」
「いいえ……」
「はい、じゃあ私がハイと言うまで、眠っていてください」
「はい……」

「ハイッ!」
「あはっ!?えっ??」
「はい、大丈夫、ただの捻挫ね。湿布を出しておくので、様子を見てください
ね。お大事に」
「は、はい……」
男は、診察室から不思議そうな顔をして出て行った。
男が診察室を出てトボトボ廊下を歩いていると、白衣を着た医者らしき眼鏡の
男に呼び止められた。
「ちょっといいかい、君?」
「はい……、何でしょう?」
「君、今、診察室で何かされたかい?」
「えっ……、な、何かされたかって……、そんなの……あれ? おかしいな…
…、よく覚えてない……」
そう男が言うと、白衣の男は大きくため息を漏らしてから言った。
「君、ちょっとそこの僕の診察室まで来てくれないか?」
「えっ……、ど、どうしてですか……?」
「君は、とんでもない医療行為をされた可能性があるからだ」
「えっ……、そんな……」
「話は、僕の精神科診療室でするから」
「は、はい……」
男は、白衣の男に指で示された精神科第一診療室に向かって、廊下を歩き出し
た。
白衣の男は、男が先ほどまで『診察』を受けていたという部屋の扉を見つめな
がら、小さな声で言葉を残した。
「もう、終わりにしよう……。こんなこと続けてちゃいけないよ……。僕が君
に教えたのが悪かったんだ……」
そして、廊下を白衣の男は歩き出した……。



                                   
  END
















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