転落人生1

 

僕の家は先祖代々の大地主だ。田舎ではあるが、農業には最適のいい黒土の広大な土地を所有している。祖父母も両親も地域の人々に慕われ、昨今の弱肉強食の世の流れとは縁のない平和で穏やかな日々を過ごしていた。両親はなかなか子宝に恵まれず、父が55歳、母が50歳の時、僕が生まれた。高齢出産で生まれた子はみんなそうかもしれないが、多大な愛情を注いで育ててくれた。その愛情に応える為に僕は勉学に励んだ。そして、今年は高校受験生だ。今まで以上にがんばらなくては。

「行ってきます。」「あー。義広ちゃん。お弁当忘れてるわよ。それと、今晩はお父さんの収穫の手伝いで遅くなるかもしれないから、鍵も忘れないで持って行くんだよ。」「うん、母さん。母さんも父さんも年なんだからくれぐれも気をつけるんだよ。」「何を言っておる。まだまだ義広には負けんぞ。なあ、母さん。」この当たり前の幸せがずっと続くと思っていた。

学校は学年で1クラス。1クラス30人程だ。この辺りでは比較的多い方だ。都会と比べ、遊び場が少ないからか、平均偏差値は有名私立並である。が、反面、食生活の西洋化が進んだ都会と比べ、質素な生活をしているこの辺りでは平均身長が10センチ以上も違う。現在僕の身長は152cm。父が158cm、母が145cmなので、せめて160cmにはなりたいと毎日牛乳を飲み続けている。

「義広。お前誰が好きなんだ?やっぱり矢吹か?ちっちゃくて、ぽっちゃりしてて、勉強も出来るしなー。お前の母さんっぽいじゃん。お前、マザコンっぽいからきっと、矢吹だろ?なっ?当たりか?」

「なんだよ。大輔。朝からうるさい奴だなー。恋愛なんて受験の邪魔だよ。でも、まー好みで言えばあんな感じが好きかな。」

「かー。好きかなだって相変わらずストレートな奴だな。でも、大地主の跡継ぎが誰とくっつくかっていうのは、この辺りじゃみんな注目してるぜ。くれぐれもへんな女にひっかかるんじゃねーぞ。」

「だからー。受験の邪魔だっていってるだろー。人間真面目にやってたら、そんな女に関わる心配ねーよ。父さんみたいにな。大輔こそ気つけるんだな。」

「やっぱりか?はははっ!」

級友との話が盛り上がっている時、慌しく教室の戸が開いた。

「おい!義広!大変だ!お母様が事故に遭われたそうだ!至急病院に向かえ!」

なんだって!!母さんが!母さんが!嫌な予感に胸を締め付けながら、迎えの車に乗り込んだ。「急いでください!!母さんが!急いでください!」我を忘れ、涙を流しながら、僕はそう叫んでいた。

病院に着くと父が一人立ちすくんでいた。

「父さん!母さんは?母さんは?」

「義広か...。すまない。父さんの不注意だ。すまない。すまない。」そう言った所で、

父さんは糸の切れた人形の様に倒れた。「父さん!!!」

その日から我が家は光を失った。母さんは父さんの乗っていたトラックに下敷きになって死んでしまった。地元で信頼の厚い父は何の罪にも問われなかったが、歳も歳だったし、優しく気の弱い所のあった父は、精神的に参ってしまい、東京の病院に入院する事となった。

街では父の莫大な遺産を相続するであろう僕に注目が注がれた。父不在の母の葬儀の時もその話で持ちきりだった。しばらくの間は何もする気になれなかったが、母はきっと父さんを支え、父さんの様になる様に期待していたに違いないと思い、再び勉学に励んでいた。

あの日から日々は過ぎ、年末のクリスマスにようやく父が東京から帰って来る事となっていた。その間、僕の世話をしてくれていた家政婦の梅さんと僕は朝から久しぶりの父との再会を楽しみにしていた。入院してから1カ月もしない内退院して、東京で療養していると聞いていたのですっかり元気になっていると思っていた。

ブロ〜ン、ブ〜ンブ〜ンキィィーーと凄い音が聞こえたので慌てて外に出た。

すると、この辺りでは見かけない真っ赤なスポーツカーの助手席からノソノソと父が出てきた。

「父さん....」と僕は絶句した。一気に10歳程老け込んだ様な印象だったからだ。杖を付き、腰を前かがみして僕に歩みよって来たからだ。「やあ。義広。苦労をかけたね。」そう言って、僕に微笑んだのだが、その顔も赤黒く、しわが増え、とても健康とは思えなかった。僕は母さんの件が余程ショックだったんだと思った。一時は自分の中で、事故とはいえ、大好きだった母さんを殺した父を許せなかったが、この代わり様を見て自分自身を恥じた。「おかえり。父さん。」と言った時、涙が自然と溢れて来た。「ただいま。」と小刻みに震えながら、年老いた父さんはすっと僕を抱きしめてくれた。隣で梅さんは座り込んで泣いていた。すると、その時運転席のドアがガチャっと開いた。中から耳障りな高笑いと共にゴージャスな毛皮に身を包んだ女が現れた。

「アッハハハハ。感動のご対〜面ってヤツ〜?待って様かと思ったんですけど、あんまり退屈だったから、出てきちゃったぁ。ごめんなさいね。あ・な・たぁ。」そう言って、手に持ったタバコの煙を僕と父に吐きかけ、すっと父の頭をなでる様に手を置いた。

「ねぇ。コレ?あなたの言ってたの?」「そうだ。息子の義広だ。コホッ。ゴホッ。」

「アハハハッ。親子そろって超チビじゃん。フフフフッアハハハッ。ごめんなさぁ〜い。アハハハハ。遺伝って怖いわねぇ〜。アハハハッ。」

「ちょっと、アンタ何なのさ!旦那様と坊ちゃまに失礼じゃないか!!大体あなたいきなり出てきて一体誰なのさ!」梅さんが凄い剣幕で詰め寄った。

「やぁ〜ん。アハハハッ。あなたぁ。怖ぁ〜い。アハハハッ。」そう言って持っていたタバコをくわえて父さんの頭を両手でなでまわした。

「なっ。ちょっと父さん。誰ですか。この人は!さっきから人を小馬鹿にして!失礼な人だ!」

「あー。今日から一緒に住む事になった亜希子だ。仲良くしてやってくれ。」

「どーゆう事ですか!それは!母さんが亡くなって間もないっていうのに!しかもこんなに若くて、派手で大きっい….」そう言ってからあらためてその女をよく観察して見た。、歳は24,5歳ぐらいだろうか、金髪に近い茶色で軽く巻いた髪、目はパッチリ大きく鋭い感じで鼻筋が通っている。毛皮から出た足はキュッと細く、身長は父が女の脇ぐらいの高さなので履いているヒールが10センチだとしても170センチ中頃はあるのではないだろうか。そして、プンプンと鼻をつく甘ったるい匂い。香水だろうか。母さんとは似ても似つかないタイプだ。

そんな事を考えていると父がおぼつかない足取りで車から女のバッグを持ってきて、二人で中に入っていった。僕と梅さんはその場で何か悪い夢でも見ている様に立ちすくんでいた。

あんな女の一体何がいいんだ。あの歳で父さんも一体何を考えてるんだ。どーしよう。どうしよう。母さんに一体何て言えばいいんだ。そんな事を悶々と考えながら、眠りについた。

ガヤガヤと賑やかな物音にふっと目が覚めた。時計を見るとまだ7時だ。なんだよと思って部屋から出ると、せかせか働く引越し業者の姿が目に映った。隣りで父さんと梅さんが何やら言い合いをしていた。

「どうしたの。こんな朝っぱらからー。」

「あっ。坊ちゃま。聞いてください!旦那様が奥様の家具やら思い出の品、そして仏壇まで処分しろとおっしゃるんです!」

「なっ!何―!?」

「いっ。いやー。ちょっと模様替えをしようと思ってな。そう怒るな。それよりおまえ今日終業式だろ。早く行って来い。」

父の様子がおかしいと思いつつ僕は学校に向かった。

学校でもあの女の事を考えていた。ずっとあの女の忌々しい高笑いが耳から離れなかった。

「おい!おい!義広!」

「あっ。ごめん!って大輔かー。おどかすなよ。」

「お前ずっとうわの空だぞ。でも早くも噂になってるぜ。お前の父さんがスッゲー美人連れて帰って来たって。」

「美人なモンか!最低な女だ。母さんと正反対な最低な女だ!」

「でも実際どーすんだ?今は愛人って奴だろーけど、その内籍とかいれちゃったら、お前の母さんって事だろー?財産狙いって悪い噂が流れてるし早い内に手打たないと大変な事になるぜ。」

「だよなー。でも大丈夫だ。内の顧問弁護士をなめてもらっちゃー困るよ。母さんが死んだ時こーゆう事を想定して僕の了解なしには、再婚出来ない様になってるんだ。」

「本当か!さすが日本の誇る大地主家だな。」

「そーいう事!あの女と父さんの再婚は僕がいる限り、あり得ないってことだ。」

「それ聞いて安心したぜ。地元の人達も安心するだろーな。」

でも一緒に暮らす事まで拒否出来ないんだよなーと憂鬱になりながら帰路についた。

帰って、見ると余りの変わりように愕然とした。外観は変わらないが中に入ると全くの別世界にきた様な変わり様である。靴を脱いで居間に行くと、片隅に置かれたちゃぶ台で父さんと梅さんがお茶をすすっていた。

「父さん。梅さん。模様替えって言ってたよね。なんでそんな隅でお茶なんか飲んでるの。」

「おかえり。義広。父さんは隅が落ち着くんだ。」と力なく笑った。

「あぁ〜!おかえり〜。ねぇ〜見て!見てぇ〜!素敵になったでしょ〜?」見るとあの女が豪華絢爛なテーブルセットで一人シャンパンを飲んでいた。

先程見た二人とあまりのミスマッチに僕の頭わ混乱した。

「どっ。どーいう事?」

「だってぇ〜。あんな田舎臭い所に住めないじゃ〜ん。だから〜、住める様にしたのよ。あんたもあんなダサ〜イ家具に囲まれてると素敵な大人になれないわよぉ〜ん。アハハハッ。」そう言って立ち上がると僕に向かってゆっくり歩いて来た。胸の強調されたワンピースを着ていた。1歩歩くごとにプルルンと音が聞こえる様な気がした。ウエストラインも細いのでこれがくびれというものだろう。マイクロミニと言うのだろうか。超ミニ丈で脚の長さが半端なく長いのが良く分かる。足元には、ダイアモンドだろうか。キラキラ光る宝石が散りばめられた高いハイヒールを履いている。カチンと来たハズだったが、その女に見とれてしまい、言葉を失ってしまった。

僕の前で立ち止まると僕の頭をそっとなでながら「あたしみたいな大人になりたいでしょ〜?」と言った。僕は心臓が何故かドキドキした。体が熱くなり、顔まで真っ赤になって行くのが自分でも分かった。「あらぁ〜?お顔が真っ赤でちゅよ〜?クスクス。」

女に笑われて、はっと我に返った。「おっ、おっ、お前な!ひっひっ人を馬鹿にするな!それに土足で家に上がるなー!」「えぇ〜。やっだぁ〜。この子超おじさん臭〜い!アハハハッ。」笑いながら女は椅子に座り、ゆっくり脚を組んだ。僕はその動きに見とれまたしても言葉を失った。「ねぇ〜。キレイでしょ〜?」「はっはい!」思わず言ってしまった。

「アハハハッ。あんたかわいいトコあんじゃな〜い!!アハハハッ。亜希子よ。よろしくね。アハハハッ。」笑いながら自室に亜希子は消えて行った。

その日から我が家の転落はスピードを増した。父はどんどん衰弱し今では寝たきりになってしまった。梅さんは今では亜希子専用の家政婦になってしまった。あの日以来、僕も亜希子に何も言えなくなってしまった。亜希子の側を通るだけで、何故か体が熱くなってしまうのだ。あの高笑いを聞くと股間がズキズキと痛んで仕方ないのだ。僕の体はどうかしてしまったのではないかと不安で仕方ない。

「あぁ〜ん。もお〜!最悪〜!梅ったらパンティ〜間違ってるじゃな〜い!ちょっと〜!誰かぁ〜!」浴室の方から何やら叫び声が聞こえるので行ってみた。

「あ〜!義広ちゃん!今日届いたパンティ〜居間から持って来てぇ〜。お願ぁ〜い。」ちらっと見えた亜希子の裸に股間に痛みが走りながら「はっはい。」と答えていた。「フフッ。急ぎなさいよ!」と見下ろされながら言われるととても惨めな気持ちなったが僕は急いでパンティーを取りに行った。これかなっと箱を開けて見ると、真っ赤なTバックが入っていた。ムラムラした気持ちになったが急いで亜希子に届けた。「あぁ〜!良い子!良い子ぉ〜!よく出来まちたぁ〜。はぁい。ご褒美!アハハハッ。」っと僕にそれまで履いていた亜希子のパンティーを頭に被せられた。「アハッ。良く似合うじゃな〜い!アハハハッ。脱ぎたてホヤホヤだから美味しいわよ。アハハハッ。」僕はパニックになり自室に走って帰った。落ち着いて亜希子のパンティーをそっと手にとって見ると、ムラムラした気分になり一心不乱にその匂いを嗅いでいた。すると、股間がピクッピクッと反応し棒がビンビンにそそり立った。なんだ。なんだコレ!と怖くなったが、亜希子の声が「アハハハッ。あたしのパンティー美味しいわよぉん。アハハハッ。」と耳鳴りの様に聞こえた気がした。僕は何かに取り付かれた様に亜希子さーん、亜希子さーんと叫びながら生まれて初めてオナニーした。

 




暗黒催眠空間トップページ