私の名前は大沢 朋美(おおさわ ともみ)。性格は、自分の好きなことにはかなり熱中するタイプ。

  

  今は高校3年生で、頭の良さには結構自信がある。ルックスは……まあ、普通かな?

  

  学校の生活も結構普通。でも、ある日を境に、そんな私が変わっていった…。

  

  

 

「朋美ってさあ、催眠術とかって興味ある?」

  

  そう話しかけてきたのは、幼なじみの隆夫だった。

  

  「うーん、あれってテレビとかで見るけど、やらせじゃないの?」

  

  「いや、催眠術は実際にあるよ。俺最近勉強してるけど、やってみる?」

  

  「うん、じゃあやってみようかな」

  

  「オッケー、じゃあ明日休みだし、うちに来なよ」

  

  「うん、じゃあ明日午後に隆夫の家に行くから」

  

 

翌日

  

  「おじゃましまーす」

  

  「おっす、とりあえず俺の部屋に来て」

  

  「うん」

  

  隆夫の部屋は、やっぱり汚れていた。

  (やっぱり部屋って性格出るなー)

  

  「んじゃ、とりあえずそこの椅子に座ってもらっていい?」

  

  「うん、これでいい?」

  

  「うん、次に深呼吸してリラックスして」

  

  私は言われたとおりに行動する。 準備運動のような事を少しやったところで、本格的に始めるようだ。

  

  「じゃあ、このペンライトの光を見つめて。他の所は意識しないで、この一点だけに集中して。」

  

  私はペンライトの光に集中する。

  

  「ほら、目が疲れてきてまばたきが多くなる。あなたの瞼が重くなってくる」

  

  「瞼がどんどん重くなっていく。目を開けていられなくなる」

  

  と、同じような言葉を繰り返していく隆夫。

  

  そこまでは覚えているのだが、それからは何をしたか思い出せない。

  

  記憶があるのは、目を覚ましてからだ。水の味が変わったりしたのは覚えている。

  

  隆夫は、私は被暗示性が高いと言っていた。

  

  私はこの日、催眠ってすごい!と思った。

  

  この日を境に、私は変わっていったのだ。

  

  

  それから私は、暇な時間はいつも催眠術について調べていた。

  

  

  数日後…

  

  私はいつものように催眠術について調べていたのだが、その時、私は自分の触れてはいけない事に手を伸ばしてしまった。

  

  (これを使えば…人の心を操れる?)

  

  という考えが頭の中をよぎった。

  

  (これさえマスターすれば、私は学校を支配できるかも!)

  

  朋美のもう一つの人格が目を覚ました。そしてそれから、朋美は狂ったように催眠術について調べていった。

 

 

  数日後…

  

  「おっす、朋美。 催眠術の勉強、してる?」

  

  いつものように話しかけてくる隆夫。 しかし、彼は朋美の恐ろしい計画が始まろうとしている事を知らない。

  

  「おはよう、隆夫。催眠術の勉強してるよ。 もうすぐ、面白い物を見せてあげるからね・・・!」

  

  隆夫は、いつもと違う朋美の様子に少し戸惑いながらも、俺に勉強の成果を見せてくれるのかな とのんきなことを考えていた。

 

そして、それから数日後。朋美の計画が始まる日が来た。

  

  (やっとここまで来た。 もう後戻りは出来ない。 でも大丈夫、計画は完璧だから!)

  

  朋美が学校に着いた。 そして、計画は始まった。

  

  (まずは教師ね。障害物は最初に取り除こう。最初に、生徒と関わりが深い井上先生から)

  

  そして、休み時間中に人通りの少ない廊下で、朋美が井上先生とすれ違った。もちろん朋美はこのチャンスを逃すわけがない。

  

  「あの〜、井上先生。ちょっと話があるんですが、いいですか?」

  

  「ああ、いいよ。話って何かな?」

  

  その時、朋美の眼が大きく見開かれた。その瞬間、井上先生は倒れるように眠った。

  

  「やっぱりいいわね…この瞬間催眠法。 さて、あとは手短に終わらせよっと」

  

  朋美は相当な催眠術について勉強をし続け、眼だけで相手を深い催眠状態に落とす能力を手に入れていたのだ。

  

  「あなたは私の下僕です。これからわたしの命令に従わなくてはいけない。 絶対にね わかった?」

  

  井上先生は、眠ったまま軽くうなずく。

  

  「私が三つ数えて手をたたくと、あなたは目が覚めて今のことは忘れる。でも心の中には残っている。あなたは私の下僕です。  3,2,1」

  パン!

  

  「んっ、あれ?俺は・・・」

  

  「大丈夫ですか、井上先生? 調子が悪かったら、早めに休んだ方がいいですよ」

  

  「ああ、そうだな・・・ 今日は早めに家に帰るよ…」

  

  (ふふふ… とりあえず一発目は成功ね)

  

  そうして、朋美は同じ様な手口で、教師を全員自分の配下にした。

  

  そして、朋美の魔の手は生徒に伸びていった。

  

  計画開始から五日目。朋美はすでにある一人を除く生徒の全てを自分の配下にしていた。

  

  (以外と計画は早く進んだわね…。さて、あと一人…… あいつが終わればこの学校は私の物!)

  

  朋美は、最後の一人 隆夫に声を掛けた。

  

  「隆夫、話があるんだけど。屋上に来てくれない?」

  

  いつもとは違う様子、この間ともまた違う様子で話しかけてくる朋美。そして二人は屋上に上った。

  

  「隆夫、今私が何をしようとしているか、わかる?」

  

  「なんか……、最近みんなの様子がおかしいような気がするんだ。この間言ってた面白い物って…この事か?」

  

  「そう、私は催眠を使って、この学校の支配者になるの」

  

  「黒幕はお前だったのか… 一体、なぜこんなことをしたんだ?」

  

  「私はこの学校を自分の物にしたかっただけ。そしてこの学校の全てを支配するの」

  

  「朋美…おまえは間違っている……。 悪いが止めさせてもらうぞ!」

  (朋美は被暗示性がかなり高かった…。あの時に掛けた後催眠がまだ残っているはず…!)

  

  パチンッ! 隆夫の指が鳴った。 そして、朋美が倒れた。

  

  (よし、成功だ!)

  

  そして隆夫が朋美に近寄った時

  

  「……その程度?」

  

  朋美が起き上がり、大きく見開かれた目が隆夫を貫いた!

  

  隆夫は、一瞬自分の心臓が大きく脈打つのを感じた。

  

  (なっ……! な…ん……で………?)

  

  隆夫が倒れ込んだ。

  

  「私だって伊達に催眠の勉強をしてたわけじゃないよ? 逆を突かれないように自分の被暗示性を低くしてたの。それこそ絶対に催眠に掛からない位にね。 結局、あなたでは私に勝てないわ。

 どう?意識はあるけど、体が動かないでしょ?」

  

  (本当だ… 意識ははっきりしてるが、体が…動かない…!?)

  

  「さて、私に逆らう奴にはおしおきをしないとね。大丈夫、痛くはないからね…ふふっ……」

  

  「私が指を鳴らしたらあなたの心は砕け散る。砕けた心はもう元に戻すことは出来ない。

そしてあなたは暗闇の中を彷徨い続ける……。そしてそのまま…死んでしまいなさい」

  

  (……と…も………み…………。や……め…て………く…………れ…………!)

  

  パチンッ!

  朋美の行動には、何もためらいが無かった。 朋美はもう以前の朋美ではない。 今はもう、冷たい心を持つ支配者になっている。

  

  そして、隆夫の心は砕け散った。 仰向けに倒れた隆夫の眼は、もう何も映っていないような虚ろな眼になっている。

  

  「楽しませてもらったわ、隆夫。 ありがとね…くすっ……

 もう邪魔する物は誰もいない……。私は完璧よ…。 この学校は私の物……」

  

  そして、朋美は屋上から校舎へと戻っていった。

  ---終---

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