(第二夜)

「うふふふ。」

「きゃあーっ!」

恐ろしい姿になった雅也美から逃げようとした女子児童たちだったが、扉を開くこともできなくなって更衣室内はパニックになった。

「きゃっ!」

「くくくく。」

ひとりの児童が雅也美につかまってしまった。すぐに首に牙をたてつけるとかみつかれ、血を吸われてその児童もがくっとなり、またすぐ起き上がると雅也美と同じように恐ろしい吸血鬼のような表情になって別の児童に襲いかかるのであった。

「きゃあーっ!」

またひとりずつふえて血を吸い合い、あっというまに更衣室内にいた女子児童たちは全員が吸血鬼のような姿になってしまっていた。

「おほほほほ。ただの吸血鬼じゃないわ。さあ、みんなそこにいっせいに並んで。」

雅也美が主犯格となり、身の丈ほどもある自慢の長い黒髪を舞わせると、ほかの女子児童の頭にも異変が起っていた。おかっぱ頭だったはずの少女たちの髪の毛が、雅也美と同じくらいに全員床にとどくぐらい長くなってしまっていたのである。

「おほほほほ。おほほほほ。さあみんな、今度は…。」

 

いっぽう、雨が上がって校庭ですでに着替えも終わっていた同じクラスの男子児童と担任の男性教師は、女子がなかなか来ないので不思議に思っていた。

「どうする。だれか見に行ってみるか。」

「そんな、女の更衣室なんて、行きにくいよ。」

「外から声をかければいいんだよ。」

「みんな、雨で授業が中止なのかと思ったのかな。」

すると、教師が口をはさんだ。

「まあ、そしたら先生が行ってこよう。ちょっと待ってくれ。」

 

担任の男性教師は女子更衣室にまず訪ねていた。

「おい。」

扉をたたいてみても、返事が全くなかった。

男性教師は思い切ってあけてみることにしたが、中を見るのはまずいだろうと思って視線を避けた。それでも、誰も声をあげてこなかったので仕方ないから中をたしかめてみることにした。

ところが、男性教師が室内に入るとその扉が勝手に閉まったのである。

「おい、どういうことだ。いったい、あかなくなったぞ。」

男性教師は扉をあけようとしたが、あけられなくなってしまった。

「うふふふ、先生ったらエッチね。女子更衣室に勝手に入ってきて。」

「誰なんだ、もしかしてその声は…。あっ。」

男性教師の前には、雅也美が現われていた。

「うふふふ。」

「おい、体育の授業はもう始まってる時間だぞ。」

「女子はみんな、体調がおかしくなったのよ。だから、教室に戻ってるわ。」

「そんな、勝手なこと許されないぞ。どういうことだ、あっ。」

「先生も、わたしみたいに髪の毛長くしている女の子が好きなんでしょう。いつも先生のおちんちん、わたしを見るとたってるのがわかるわ。」

「おい、へんなことを言うな。あっ。」

「ほら、いまも。」

「く、苦しい、どういうことだ。」

男性教師はその場に倒れてしまった。雅也美がブルマーを脱ぎ始めて下着もずりおろし、男性教師を性行為に誘い始めるのであった。

「うふふふ。」

「ちょっと、やめろ。」

「先生がいちばん好きなのはわたしなの、わかるわよ。うふふふ。」

「ああっ。」

とうとう、雅也美は露骨にした股で男性教師の首をはさみ始め、髪の毛を舞い上がらせて男性教師の顔を覆い始めたのだった。

「く、苦しい。」

「おほほほ。先生の好きな女の子の長い髪の毛をたっぷり味あわせてあげるわ。」

やがて、男性教師の意識ももうろうとなり、雅也美は男性教師の顔に近づいて首にかみつくと血を吸い始めるのであった。

「くくくく。」

 

校庭では、男性教師もなかなか戻ってこないので待たされている男子児童たちがしびれを切らしているうち、再び雨が突然降り出していた。

「また雨だな。これじゃ体育できないよ。」

「どうするみんな。」

「こんな何度も降ってたら校庭も濡れてるし、やんでももうできないだろう。」

「教室に戻るしかないよ。体育館は他のクラスがやってるし。」

「そうだな。」

結局、男子児童も自分たちの教室に戻り始めたのであるが…。

教室では、すでに女子児童たちがみな自分の席にすわって待っていたのであった。

「あれ?ここって自分のクラスかな?」

「どうした?」

「女子がみんな、髪の毛長い子ばかりいたっけ。」

「それに、先生もいないのにおとなしいな。おしゃべり全然しないし。」

「いつもうるさいのにな。ん?」

女子児童たちのようすがどこかうつろな感じに見えていた。たしかに、雅也美以外にこのクラスには髪の毛を胸以上に長くしていた者はいないはずだったのに、髪の長い者ばかりいては違う学校にでも来たのではないかと思うのも無理はなかった。ところが、少しずつ教室内に男子児童がはいってきたとき、女子児童たちがいっせいに、不気味に教室の後ろにいた男子児童たちのほうを振り向いたのである。

「な、なんだ。おい、みんな、たしかにうちのクラスの女子の顔だけど。」

「どうして、髪の毛がみんな雅也美みたいに…、ううっ。」

その言葉を発した男子が急にもだえ苦しんだ。

「女王さまのことを呼び捨てにしたら許さないわよ。」

「女王さまだって、ええ?」

女子児童たちの声がどことなくうつろな感じでしかもいっせいに声をそろえて話したのにまた男子児童たちは驚くのであった。

「早く、男子はみんな自分の席にすわりなさい。先生が来るのをおとなしく待っているのよ。」

またも、女子児童たちの不気味に揃った声に驚く男子児童たちだが、仕方なく全員言われたように体操着のまますわるしかなかった。女子児童のほうも体操着である。

「けれど、女子もみんな着替えていたなら、どうして校庭に来なかったんだい。」

「静かにしなさい。」

また女子が一斉に揃えて話したため、男子たちも気味悪がってだれひとりしゃべろうとする者もいなくなった。

ところがその時、外ではまたより雨が激しくなって暗くなり、扉も窓も閉められて電気がまた消え、男子たちがいっせいに声をあげた。

「うわーっ、なんだい。あっ。」

「くくくく。」

男子児童の、それぞれ右隣にいた女子児童の顔が急にひきつって目がつりあがり、口のなかから牙を出していた。男子と女子が同じ人数で一列ずつ交互の配置になっているクラスだが、女子児童がひとりずつ左隣の男子児童にとびつき、牙を首にさしはじめた。

「うわーっ!」

女子児童たちの長い黒髪を肩にばっさりかけられて男子児童たちは身動きできなくなってしまい、ついに男子全員がひとりずつ女子に血を吸われてがくっと倒れてしまった。

「おほほほ。男子もこれでみんなエイリアンの下僕になるのよ。」

主犯格の雅也美が教卓の上に立ってまた黒髪を舞い上がらせていた。すると、女子児童たちに襲われていた男子児童もみな頭髪が急に長く腰以上に伸びてまるで女の子のような髪の毛になってしまったのである。

「さあ、これでこのクラスの者はみんなエイリアンになったわ。女の子は男の子を、男の子は女の子を襲ってみんな仲間をふやすのよ。」

「はい。」

クラスの全員が、うつろな表情でこくりと首を前に振りながら返事をするのであった。

 

こうして、また同じ学年の他のクラスの児童を、そして上級生や下級生と長い髪のエイリアンの下僕になっていった児童たちが学校じゅうの児童に広がっていったのである。

(つづく)




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