妖髪少女

 

(第一夜)

「うひひひ、ひひひ。」

ある男の部屋で、いかにもいやらしげにDVDを見ていた男がいた。

画像には、なまめかしい少女の姿が映し出されていた。

映し出されていた少女は色白で、豊かな長い黒髪が膝にまで届いている、実はその長い髪の少女を好む男のための、いわゆる髪フェチのために撮影されたDVDを通信販売で男が購入していたのだった。まさに、購入した男のように、裸より長い髪だけで興奮してしまうという者のために撮影去れていたようなものであった。

「いひひひ、ひひひ。」

少女が下着姿になって、風呂場の前にある脱衣所で髪をていねいにヘアブラシでといているシーン、風呂場で洗髪するシーン、それをまたタオルでふいてドライヤーで乾かし、寝間着を着てまた髪の毛をまとめてゆくシーンなど、髪の毛を中心に映し出している画像が次から次へと現われていた。もちろん、下着や全裸の姿もあるので、アダルトビデオの類にもなっているが、とにかく長い髪の女の子が大好きな男にとってはこれ以上もないほど、性欲をかきたてる動画の連続だった。

「ひひ、ひひひひ。」

極めつけは、少女が髪を編んでゆくシーンである。

髪をふたつに分け、ピンをさしてそれぞれ三等分した髪の束をていねいに三つ編みに結っている。毛先に黒いヘアゴムをゆわえてまだお尻をこえるほどある長い三つ編みの髪を見て、また男は性器を勃起させている。

二本の太めの三つ編みにまとめた黒髪が、少女が首を振るとその背中をまるでへびがはうようにうごめいている。少女はまた寝間着をぬいで下着姿になり、秘部までモザイクもなく、露骨に映し出されている。

更には、過激にも男とたわむれているシーンまでが。やはり髪フェチの男のようで、勃起した性器に少女は口を加えている。顔の見えないその男はまた少女の三つ編みにした髪をなかほどからわしづかみにしている。男の性器がよりびんびんになり、とうとう精液が大量にとびだして少女の顔を覆ってしまったのである。

「ひ、ひひひ…。」

さらに画面が変わり、少女の三つ編みにした髪を男の性器に左右から巻きつけていく場面もある。

「あん、あん…。」

髪をまきつけられた少女が胸も後ろから手づかみにされて、うめいたりするシーンもある。

だが、うめいたかと思った少女が、急に不気味な笑い顔を浮かべるようになる。

「さあ、こんどはあなたの番よ。」

「えっ?」

画面から三つ編みの髪の毛をもとのようにおろした少女が、突然男の部屋に飛び出してきたのである。そして、下着をぬいで興奮していた男の性器に向かって突然口を加え、フェラチオを始めたのだ。

「わっ、うわっ。」

「わたしの髪の毛にさわっていいわよ。なでられるとよけいうれしく感じてくるわ。」

「う、ううっ。」

悶えて精液を出した男の性器にまた少女は左右から三つ編みの髪をまきつけたのであった。

「ふふふふ。」

少女が不気味な笑いを浮かべると、少女の目がつりあがって口も上下に大きく開き、なかから牙が出ていたのであった。

「うわっ、急にもしかして、吸血鬼…。」

「おほほほ。そうよ。あなたの血をいただくわ。」

「ああっ。」

少女は背筋を伸ばして男の首にかみつき、男を気絶させてしまった。男の性器には三つ編みの髪の毛を巻きつけたままだった。

「うふふふ。」

そのまま、DVDの画面に後戻りをして、男をつれたまま画面のなかに消えてしまった。

部屋のなかには、開いたままのDVDが散乱して残されていた。ちなみに「みやび」というタイトルのDVDだった。

 

DVDに出演している長い黒髪の少女は、実は小学五年生で坪野雅也美(つぼの・みやび)という名で、ふだんは耳もとにピンク色のボンボンをまとめたツインテールの髪形でランドセルを背負いながら通っていた。背も、多少大柄なほうである。

「おはよう、雅也美ちゃん。」

「おはよう。」

なにげない、普通の少女であるが、その黒髪を活かしてDVDに出演していることは誰も知らなかった。

そのDVDを制作していた会社が、実は恐ろしい宇宙からのエイリアンが組織して地球の侵略を狙う一味の仕業であったこともまだ人々には気づかれていなかったのである。

「実験は進んでいるのか。」

「へい、着々と。まず、こどもたちをターゲットにすれば怪しまれなくていいと思います。」

「そうか、まずはおとなに知られないように作戦を進めていくことだな。」

エイリアンは体を虫のように小さくして、通学中だった雅也美の髪の毛にしのびこんでいた。

そして、夜中になって三つ編みにしていた雅也美の髪のなかから正体を現わしたのであった。

「いっひひひ。まずはこの子から。」

エイリアンが雅也美の顔に手をかけ、ほおをおさえると雅也美も驚いて目覚めたのであった。

「はっ、きゃーっ!」

「ふふふふ、大声で叫んでも家の人には聞こえないよ。おまえはわたしたちの女王になってもらう。」

「じょ、女王ですって?」

「ひひひひ、きれいに編んでいる髪の毛だな。」

「いやっ、ひっぱるのやめて。」

「ふふふふ。」

「ああっ。」

エイリアンは、露骨な性器を雅也美に見せて顔におしつけ、とうとう雅也美の髪の毛を性器に左右から巻きつけてしまった。

「ほんと、興奮してくるぜ。」

「きゃあーっ!うぐっ。」

エイリアンは性器を雅也美の口につっこませ、興奮させて精液を流しこみ、飲ませてしまった。

「これでおまえは、われわれの思い通りに動くのだよ。」

エイリアンはその後去ってしまい、その夜はなにごともなかったかのように静まっていた。

朝を迎えても、ふつうに親といっしょに食事をして、いつものように元気に登校していく雅也美だったが…。

 

その日の昼休み、雅也美は便所に入ってかたほうのボンボンを髪の毛からほどいていた。

「ご主人さま、雅也美です。いま、学校は昼休みでこれから体育の授業なんですが、行動をそろそろ起しますか?」

かたほうのはずしたボンボンに話しかけると、もういっぽうのボンボンに侵略者からの指令が入ってきているようであった。

「はい、わかりました。まずは、女子だけが集まった更衣室ですね。」

 

その、女子更衣室にはもちろん女子児童だけが集まっていた。

雅也美は両方のボンボンをはずして手首に巻き、体操着に着替えてはちまきをヘアバンドのようにして頭に巻くと、髪の毛はそのまま束ねずにダウンスタイルにしておろしていた。

「あら、外の天気がおかしいわ。」

女子児童のひとりが指摘したように、それまでの青空が急に変化して雨雲に覆われ始めたのである。

「やだ、雷が、こわい。」

「きゃっ。」

更衣室内の電灯がみな消え、外も暗くなったために着替えていた少女たちはますますこわがっていた。

「どうしよう、停電だわ。」

「やだ、わたしまだ着替えの最中なのに。」

「わたしもよ。外に出られない。」

ひとりの女子児童が扉をあけようとしたが、ところが突然開かなくなってしまったのである。

「やだ、ドアがあかない。」

「えーっ。」

その時、雷の光で一瞬明るく映し出された雅也美の顔が、不気味な表情を見せはじめていた。

「み、雅也美ちゃん、どうしたの?」

「ふふふふ。みんな、エイリアンの仲間になるのよ。」

「えーっ、雅也美ちゃんたら、とつぜん変なこと言い出して。」

ふだんはおとなしい雅也美の口から意外な言葉が出てきたことに、回りの児童たちも驚いていた。

「くくくく。」

「きゃあーっ!」

雅也美の色白の顔が徐々にまだらになり、目がつりあがって口からは恐ろしい牙が…。

(つづく)




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